特級探索者、配信者となる~攻略マナーを配信してただけなのに何故かバズって困ってます~
和ふー
プロローグ
「
ダンジョンを攻略する事以外、特に趣味もない煉。そんな彼の数少ない友人である
「配信? 俺が興味がありそうに見えるか?」
「ないと思うよ」
「なら無駄なことを聞くな。というよりも昔お前の動画に出るという話は断った筈だ」
煉がダンジョン攻略を趣味とするように優弥も動画配信を趣味としていた。そのため何度か出演してくれと頼まれた事があったが興味のない煉は全て断っていた。しかし今回は様子が違う。
「そうじゃなくてな、お前のチャンネルを開設して動画配信をしてみないかって提案」
「お前の動画に出るのも断っているような奴がそんな面倒なことに頷くと思うか? それとも前に動画が伸びないと嘆いていたことと関係があるのか?」
「関係ないと言えば嘘になる。でもそれだけじゃないぞ。これはお前にも得がある提案だよ」
「得?」
「前、お前も嘆いていただろ、最近攻略マナーの悪い探索者が増えたって」
確かにそんな嘆きをしたのは事実である。昔はダンジョン攻略で入手したアイテム類はすべて一旦国に提出し個人所有を認めるか否かを判断した後、国で管理する場合、報酬という形でお金が支払われていた。他にも探索者不利な制度が多く存在した。命懸けで探索してこれでは割に合わないと考えた日本人探索者たちが比較的探索者ファーストの外国に流出するという事態まで発生した。
それを重く見た日本も昨年、制度を大幅に改正し探索者が稼ぎやすくなった。それによりバイト感覚の初心者が増えてしまったのだ。その結果マナー違反が横行する事態になっていた。
「そのマナー違反は、まあ学生とかが多いからってのもあるかもしれないけど、一番はそういったマナーを知る機会が少ないからだと思うんだよ。特に若者向けの媒体で」
確かに優弥の言わんとしているこたは理解できた。煉は探索者として稼ぎたい訳ではなくダンジョンが好きで探索者をしているため、独自で勉強を欠かさないが、ちょっとした小遣い稼ぎであればある程度のルールは知っていてもマナー等まで詳しく調べないかもしれない。
「しかし俺が攻略マナーを教える配信をしたところで誰も見るとは思えん。それに動画を作るには撮影だけじゃ駄目なのだろう?」
「撮影以外の作業は全部俺がやるよ。お前には撮影を頼みたい。ダンジョン内で」
「ダンジョン内で?」
「そう。言葉で説明するよりダンジョン内で映像として解説した方が分かりやすいでしょ?」
「なるほど」
そんな優弥の口車に乗せられる形で煉は動画配信を承諾するのだった。
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