第3話 悪夢

「胸糞悪い夢だ」

金髪に紫の目をした王子はため息をつき、起き上がる。


婚約者を裏切る夢を見た。


ディアナだろうがアリスだろうがどちらにしろ婚約した方を裏切っている。


「婚約者候補として名は知っているが」

どちらも交流はまだない。


夢で見た限りは二人とも最悪な性格だ、お互いを罵り合い蹴落とす様は正直醜い。


だが何より醜いのは。


「婚約者を裏切る自分だな」

卒業パーティなどという皆の目がある中で、平然と婚約者に破棄を告げるとは。


しかもすぐに次の婚約者を紹介するなど、阿呆なのかとしか思えない。


「あまつさえ、逆上した女性を魔法で殺すだと? あり得ない」

いくら何でも非道すぎる。


呼び鈴を鳴らすとすぐに従者が来た。


「ヴェル。すぐにディアナ=マクラインとアリス=オルタナ、この両名を調べてきてくれ」


「畏まりました」

従者はすぐに出ていく。


「話したことも会ったこともないのに何故夢に出てきたのだろう」

二人ともとても美人ではあったが、あのような性格の悪さを見てしまうと気が引けてしまう。


「正夢ではない事を祈ろう」

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