見慣れた天井で目を覚ます女

前編

 私の名前は夕闇朝妃ゆうやみあさひ。私の親友は大罪を犯した。夜葉が捕まってから、私は無気力な日々を過ごしている。事件を起こしたこともショックだったけど、そんなに思い詰めていたのに私に何の相談もなかったことが一番ショックだった。親友だと思っていたのは私だけ?話を聞きに行こうにも、面会の許可が全く下りないので会うこともできない。どうにもならない無力感が、毎日私を襲っている。


 見慣れた天井を見上げながら、事件以降たいして疲れの取れない眠りから目覚める。今日も会社に行かなきゃいけない。賑やかしのためにテレビをつけ、そのまま朝ごはんの準備を進めていると、少し違和感を覚えた。夜葉のニュースを報道していない…?あの事件以降見かけない日はなかったのに、ニュースが流れる様子がない。


 疑問に思いテレビ画面を見つめていると、不思議な点を見つけた。ニュース番組は、夜葉が事件を起こした日付を映している。訳が分からない。しかしどの番組を見ても、自分の持っている電子機器をすべて確認しても、全てがあの事件が起きた日付を指している。何か他に確認できるものは…。電子マネーの残高、冷蔵庫の中身、シャンプーの残り。全て確認したけど、全てが昨日の記憶と一致していない。少なくとも普通に翌日を迎えていないみたい。


 状況が理解できないけれど…、心の中にはある希望が芽生えていた。もし本当に事件当日に戻っているなら、これはチャンスじゃないかしら。面会を許してもらえなかった夜葉と久しぶりに話すチャンス。それに、夜葉の起こす事件を食い止めるチャンス。そうと決まれば、こうしてはいられない。私は朝ごはんを放置し素早く着替えて、会社もよそに夜葉の家に向かった。

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