ちょっとした山登り
ミンイチ
第1話
今日は近くの山にハイキングにきている。
天気は快晴、気温も上々、鳥たちの鳴き声や木々の囁きも聞こえてくる。
この山での洗濯機の出現情報は出ていないが、一応気をつけながら山道を登っていく。
たまにこの山に登っていることもあり、迷ったり通れない道に行き着くこともなく山頂に辿り着いた。
山頂の少しひらけた場所にある、誰かが仕留めたベンチに腰掛け、今日の朝に用意していたお弁当を食べ始める。
食べ終わり、山を降りようとしているときにスマホが鳴った。
確認すると、私がいるこの地域周辺に冷蔵庫が出現したという情報が送られてきていた。
これは危ないと思い、急いで山を降りようとするが帰路の近くの森から鳥や手持ち扇風機が飛び上がったのを見た。
他の道はあるにはあるが、その道では最近、掃除機が出たらしい。
冷蔵庫に出会うよりはマシだと思い、覚悟を決めてその道を進む。
冷蔵庫から逃げてきたであろうリスや鹿、炊飯器が横を走り抜けていく。
その時、ちょうど横を飛んでいたスズメが何かに吸われるように消えた。
掃除機だ。
私はさらに走る速度をあげ、街へと急ぐ。
後ろからは掃除機の轟音と、掃除機に吸い込まれたものたちの音が聞こえてくる。
私は重りとなるものを全て捨て、私は軽く、そしてその捨てたものを吸った掃除機は重くなる。
それが功を制したのか、私と掃除機との距離はどんどんと広がっていき、私は無事に家に帰ることができた。
それから数日後、山に出た掃除機と冷蔵庫は家電捕獲隊によって駆除されたらしい。
ちょっとした山登り ミンイチ @DoTK
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