第2話
「
「ひっ! 貴方、何者ですか? ここは
なるほど、これは美人さんのようだ。これはこれは
ちなみに左賢王の劉豹君は夜だというのに会議中なのだ。現在、
そのため幹部たちは毎晩会議で忙しいようだ。新婚だというのに可哀そうなことだ。
「やあ、自己紹介が遅れたね、僕はユーギという、巫女だよ」
「ユーギ? 左賢王様がお姉さまとよんでる祭祀長のユーギ様。なぜこちらに、まさか、左賢王様とはそういうご関係で?」
ジト目で見つめてくる蔡琰ちゃん。
かわいいなー。いっそのこと寝取ってやるか。おっといけない。時代が許してくれないだろう。
「いやいや、彼にその気があっても僕にはその気はないよ。こんなちっちゃい頃から知ってるからね。まあ安心するがいい。ちなみに彼は君のことは大好きみたいだ。あはは。
おっと、僕が用があるのは君にだよ、最初はどんな美人さんか確かめるだけだったけど、君はどうやら才人のようだから、話があうかなと思ってね」
先ほどまで書物を読んでいたのだろうか。机の上には木簡が無造作に広げられている。しかも筆と墨があることから字を書くこともできるようだ。
この時代で、しかも女性で字を書くことが出来るということはよほどのことである。
「ふむふむ、予想以上だ、最初は顔を見て合格だったらちょっかい出して退散しようかと思ったけど。男たちは会議で忙しそうだし。僕たちは女同士、腹を割って話でもしようじゃないか」
…………。
「――ということで僕達の置かれている状況はこんなだけど蔡琰ちゃんはどう思うかな?」
「ユーギさん、私にこんな重要なことを話していいんですか? 私は漢人ですよ? あなたは匈奴の立場ある人だというのに」
「ああ、別にいいよ。それに立場を考えてのことでもある。僕は、いや僕たちはこの乱世をうまく立ち回って生きないといけないからね。もちろんそれは蔡琰ちゃんも含まれるよ」
「ええ、そうですね。でもここまでの情報があるなら。ユーギさんなら答えは出ているんじゃないですか?」
「うーん、そうなんだけどね、でもそれを話す前に蔡琰ちゃんの意見を聞きたいなー」
「私を試しているんですね。いいでしょう、私も生き残りたいですから」
蔡琰ちゃんは姿勢を正し、真っすぐに僕の顔を見つめてきた。なるほど。彼女はここでは異民族である。いくら左賢王の妻となっても油断はできない、覚悟を決めるべきだと思ったのだろう。
聡明な子だなぁ、感心だ。
「では、この状況を整理しますと、そうですね。現在覇を競ってる諸侯の中ではおそらく袁紹と曹操が勝ち残ります。我々はこのどちらかに組するかで運命が決まるでしょう」
「うん、僕の読みと同じだ。蔡琰ちゃんとは仲良くなれそうだ。どうだい? このまま朝まで一緒に過ごすかい?」
「どういう意味ですか? それに左賢王様がもうじき戻られます! こんなところ見られたら」
「おやおや、見られても問題ないじゃないか。女同士なんだし、っと確かにお邪魔しちゃだめだね。じゃあ、また今度」
――やがて、中原の諸侯同士の争いは激化し、淘汰され、袁紹と曹操の二大勢力に支配されるようになった。
やがてこの二大勢力は黄河下流域の
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