自称
ログアウトし、夕食を食べ終えたところで後輩が家にやって来た。
「まさかダンジョンマスターを選ぶなんて、驚きっす。」
何がだ?もう既に、畳の上でゴロゴロできる環境を整えたぞ。それに、気分転換用の草原フィールドも作ったからな。出だしは好調じゃないか。
「お、おおう。この人、全く解ってないっす。」
失礼な。何が解ってないか説明してみろ。
「ダンジョンコアが狙われるのは知ってるっすか?」
ああ、説明されたぞ。進化やスキルを覚えるのに必要らしいな。
「そうっす。それが理由で新人のダンジョンマスターはマジで半端なくあり得ないくらいに狙われるっす。」
だろうな。そこは折り込み済みだ。だからこそ、発見されにくいところにダンジョンを作ったからな。
「ダンジョンを探せるスキルが有るのは知ってるっすか?」
初耳だ。詳しく教えてくれ。
「冒険者のLVを上げると覚えられるスキルにダンジョンサーチってスキルがあるっす。ダンジョンの大きさもある程度わかるみたいなんで運が悪かったら直ぐに見つかってカモにされるっす。まぁ、プレイヤーのダンジョンか自然発生したダンジョンかまでの区別はつかないみたいっすけどね。」
ふむ、その時はその時だな。今の俺のダンジョンは防衛設備は皆無、ミニスライム1体など無意味に等しいからな。
「まぁ、それでいいならいいっすけど。ちなみにっすけど、何処に作ったんすか?」
........教えるわけがないだろ。
「さらっと聞き出せるかと思ったんすけど残念っす。」
油断も隙もないな。ところで、そっちは何処で何をしてるんだ?
「自分は戦士っすよ。今は2階層の蒼天草原ってところでLV上げしてるっすね。もうちょいLV上げたら魔法使いに転職からの中級職の魔法戦士になれたらいいなって感じっすね。」
ほー、転職に中級職か。そんなこともできるんだな。ダンジョンマスターにも上の職があるのか?
「ダンジョンマスターはダンジョンマスターのままのはずっすけど。プレイヤーのダンジョンマスターの数が少な過ぎて情報がそんなに出回ってないんすよね。」
ダンジョンマスターって少ないのか?
「面白半分で最初に選ぶ人はいるみたいっすけど、プレイヤーからの攻勢に耐えきれなくてキャラデリしてる人が多いらしいっすよ。でも、ダンジョンマスターを長く続けてる有名なプレイヤーが二人いるっす。」
へー、俺の先輩だな。どんなプレイヤーなんだ。
「有名なんで調べれば直ぐにわかるんすけど、最上層の50階層極光神界を統べるゼクスダイン、最下層のB50階層深淵魔界を統べるアインシュラウドってプレイヤーっす。」
階層を統べるって凄いな。
「二人とも、支配する階層の性質から神とか魔王って呼ばれてるっすよ。」
そんなに有名なら他のプレイヤーからバンバン攻められるんじゃないのか?
「負けるとわかってて攻める馬鹿はいないっすよ。」
そんなに強いのか。
「配下の魔物の異常な強さも有名っす。最近だと自称勇者のちょっとヤンチャな連中が魔王の階層に突撃したみたいっすけど、10分ともたずに拠点に死に戻ったみたいっすよ。」
先輩のダンジョンマスターの強さはなんとなく理解したが、勇者の自称ってなんだよ?
「自称勇者は自称勇者っす。職業に自称勇者ってのがあるんすよ。」
なんで自称なんだ?
「魔法戦士系統の特殊最上級職が勇者っす。特殊の条件を満たさずに職業達成条件だけ満たした状態で転職すると自称勇者になるみたいっすよ。」
転職するときに自称勇者って出ないのか?
「出ないみたいっすよ、運営の[力だけでは本物の勇者ではない]っていう遊び心っていうのが有力な説っすね。勇者と比べるとステータスも弱いって話っすけどそれでも十分すぎるくらい強いらしいんすよ、腐っても勇者ってことなんすかね。自称っていう不名誉な枕詞がついても他の職に変えようとしないっすからね。」
バグじゃないのか?それ。
「バグじゃないみたいっすよ。最初は運営に結構は問い合わせがあったらしいっすけど、修正もされてないみたいっすし、今ではもう周知の事実っすね。」
自称勇者って多いのか?
「結構な数がいるっすよ。物理に魔法、それに簡単な支援も出来るっすからね。ソロでもパーティーでも使えるっすから需要があるんすよ。」
万能で使いやすいのか。気になったんだが、勇者はいないのか?自称のない本物のやつ。
「勿論いるっす。そんなに数はいないっすけど、プレイヤーが多い階層だと一人二人くらいはいるんじゃないんすかね。」
ふむ、俺のダンジョンのある階層はプレイヤーが少ないらしいからな。勇者はいない可能性が高いな。
「あっ!話は変わるんすけど、先輩、プレミアム版を買ったんすよね。」
ああ、そうだが。
「特典アイテムなにがもらえました?」
ん?そういえばそんなものもあったな。まだ確認していないな。
「早く確認した方がいいっすよ。職業によってアイテムが変わるらしいっすからね。ちなみに自分は、鉄装備一式が入ってたんすよ。」
鉄装備?なんか微妙じゃないか?
「まぁ、微妙といえば微妙なんすけど、最初から鉄装備一式があるのとないのでは全然違うっすよ。」
そんなもんか。
「そんなもんす。多少は楽になるはずっすから早めに特典アイテムは確認した方がいいっすよ。」
そうだな、明日遊ぶ時にでも確認してみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます