2-4
俺は結局一晩洸達の所で寝た。
何があったのかと言うと、あの後洸と泉水の詳細っていうのかな?
を聴いていたらとっくに夜の9時だった訳。
そろそろ帰るかってところで泉水が俺の耳元で、
「き、今日、ここ、泊まってけ」
なんて言うから。
それで今に至る。
俺は目覚めると、窓際に移動する。
そのまま外を見てると、隣に洸が来る。
「・・・・・・綺麗でしょ?」
「おう。というか、思ったんだけどさここが寝場ってマジ?」
「数年前から」
「なんか言われないの?」
「いや?ちゃんと金は必要以上に払ってるし」
「ならいいけどってそれ賄賂じゃね?」
「人聞き悪い。投資だよ?」
洸はどこか遠くの方を見ている。
「ねぇ、叔父さんはなんで探偵なんか始めたの?」
急に思わぬ質問が来てたじろぐ。
が、ここは本当の話をすればいいだろう。
「知り合いの勧誘でな。実際、小さい頃から推理は得意な方だったから」
「いつからやってんの?」
「小1の時。事件に関われるようになったのは小2だな」
「へぇ。凄いね」
「洸と泉水はいつからこんなことを?」
「最初は暗殺者として雇われたの。小4だったかしら。話すと長くなる」
「別にいいよ。どうせGWは暇して宿題やるだけだからな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
泉水が吃音症と小3のことに診断され、両親に見放されて約1年。
両親は私達の全てに期待をしていた。
幼稚園受験からの小学校受験。
次は中学受験だと私達の健康などどうでも良いように扱っていた。
ただ賢く、実績があればいい、とだけ思ってたんだろうね。
雪が窓を叩く日の朝。
1月23日だったと思う。
朝食を食べるべく、泉水を連れてアパートを出る。
そして行きつけの小さな喫茶店に向かう。
中にはいつも通り誰もおらず、カウンター席に店主が座っている。
いつもの光景である。
「いらっしゃい。いつものでいいね?」
訊かれて、そっと頷くと店主は奥へと行ってしまった。
泉水とともにカウンター席に座ると、料理が運ばれてくる。
「雪だね―。狩場で雪なんて数年ぶりだよ」
いつも通り、店主が私達の前に座る。
これで会話でない会話が成立する。
「それじゃぁ、またね」
そう言われて、私達は自分たちが住んでいるところに向かった。
雪がだんだんと積もってきてる。
部屋の前につくと、そこには私達を待っていたであろう人が居た。
いや、待ち伏せしていた。
「「・・・・・・」」
「待ってたぜ?親に捨てられたガキども」
明らかに悪意の籠もった言葉に警戒した。
私達の運命の歯車を狂わせる元凶だ。
「そんなに警戒しなくても良い。目的は唯一つ。お前らの親と縁を切って俺らの仲間になれ」
一瞬、何を言っているか分からなくなった。
否、それが目的なのかもしれない。
「俺らの仲間って言ってもピンとこないか。そうだな。暗殺者、として働かないか?」
「「・・・・・・」」
「答えを言わなければ
「・・・・・・考えさせて」
私はそう言うと泉水を連れて部屋の中に入る。
「期限は今日の日没だ。また来る」
男はそう言うと去っていった。
私と泉水はお互いに見つめ合うと肩をすくめて話し合うことにした。
◆
そして迎えた日没。
「来たぞ。答えはどうだ?」
「・・・・・・1回、仕事やってから決める、でいい?」
「良かろう。内容と日程はこの紙に書いてある。そのとおりに殺ってくれ」
そう言うと、鞄から男は紙を出して渡してきた。
男が出ていくと私達は頷いて男を尾行することに。
私達の作戦はこうだ。
1回試してからと了承したようなことを言う。
断ると警戒心が強くなって尾行しにくい。
かと言って、了承も出来ないからこの選択にした。
そして男の居場所を突き止め、その男が所属する組織を殲滅させてしまえばいいという判断になった。
雪だから一層私達の銀髪が目立たない。
結果から言うと、場所が分かった。
そして迎えた計画当日。
て言っても、1月24日。
私達は雪に紛れて奴らのところに乗り込む。
もともと、格闘技は得意。
だから、ほとんど武器は持ってない。
持ってるのは、向こうが渡してきた拳銃1
弾倉も持ってはいるが、基本的には格闘で行ける。
そう決心して私達は奴らの本拠地に向かう。
たどり着いたのは、正午少し前。
「何者d・・・・・・ゴファッ!?」
門番を泉水が蹴散らす。
そして私達史上始めての暗殺が始まる。
私達は階段を駆け上がって幹部がいるところまで行くと、勢いよくドアを開ける。
と、同時に殴りかかってくる人たち。
「ガキがぁぁ」
だけどそれを許すほど私も甘くはない。
全員を倒して中央に居た人物に近づく。
昨日、私達に話しかけてきた人だ。
即ち、私達に話しかけてきたのはボスだったのだ。
まぁ、今になってはどうでもいいんだけど。
「なるほど。我々に騙されたふりをするとは中々やるではないか」
「・・・・・・」
泉水がその男に向かって銃を向ける。
「止めとけ止めとけ。お前らには当てられん。初戦初心者の腕よ」
それはどうかなという圧が隣からする。
パシュッ。
そう音を立てて、いや
「おい、ガキ」
後ろから声がして、驚いて振り返るとそこには警察官と思われる人が居た。
これが私達の運命の歯車が狂い始めた時だった。
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