第62話 アタッシュケースの中身②

 そうして、アタッシュケースの中に入っていたUSBメモリーについて色々と考えていた士郎であったは、次にUSBメモリーと共に入っていたハンドガンの方へ視線を向けた。


 士郎は武器商人でもなければ、銃を取り扱うような人生を送ってきていないため、詳しいことは分からないが、それでもアタッシュケースに収められているこのハンドガンは普通ではないということは分かった。


 アタッシュケースの中に入っているハンドガンは銀を基調としており、グリップの部分は黒色であるが、それ以外の部分は銀色であった。


 そして、このハンドガンはハンドガンにしては全体的に大きく、グリップの部分がとても大きい点から、このハンドガンの口径が大きいことが分かる。


 何よりもこのハンドガンの形は100年前にロマン銃として銃愛好家やfpsゲームファンたちから人気のあったデザートイーグルに見た目がとても似ており、そのことからもこのハンドガンの口径が大きいことが容易に判断できる。


 そして、このハンドガンは元からなのか、それとも改造によるものなのかは分からないが、バレルはとても長く、目測であるため、正確な数値は分からないのだが、最低でもこのハンドガンのバレルは30センチ以上はある。


 しかもこの長いバレルはサプレッサーによるものではなく、単純に銃身を伸ばすためのバレルであり、この銃は人間が扱えるような代物ではなかった。


 あまりにも規格外の大きさを誇るハンドガンを見た士郎は、


「このハンドガンデカすぎだろ......何を仕留めるために作られたんだよ......」


 このハンドガンの大きさにツッコミを入れざるおえなかった。


 ハンドガンのあまりの大きさにツッコミを入れた士郎はアタッシュケースの中に収められているハンドガンをまじまじと眺めていると、


「確かに、人が扱うにしては少し口径が大きすぎるなと私も思ったね。あまり実戦向きの銃ではなさそうだ。まあ、私ならこの大きさの口径のハンドガンは普通に扱えるし、何なら武装として欲しいくらいだ」


 向かい側でアタッシュケースの中に収められているハンドガンを見ていた神風が士郎の呟きに賛同した。


 確かに、彼の言う通り、ここまで大きいハンドガンは威力こそ最強であろうが、その分反動も馬鹿みたいに大きいため、人が扱えるような物ではないのに加え、実戦向きなハンドガンではないだろう。


 どちらかと言うと、観賞用や狩りなどで使うような部類の銃と言えるだろう。


 まあ、この銃の口径から見るに、素人がこのハンドガンを扱った時、反動が制御できずに銃を頭に打ち付けるか、最悪の場合、肩の骨が外れてしまうだろうが。


 そんなヤバい銃であるのだが、神風は普通にこのハンドガンを扱えると言い始め、自ら実戦向きの銃じゃないと言っていながら自分の武装として欲しいとまで言い始めた。


 この神風の発言を聞いた士郎は流石に彼の発言を疑ってしまった。


 何故なら、銃にそこまで詳しくない士郎ですらもアタッシュケースの中に収められているハンドガンは普通の人間では扱えきれない物だと理解できているからだ。


 流石に、常識外れの神風であったとしてもこのハンドガンを扱えるとは到底思えなかった。


 そうして、士郎が神風の発言が信じられずに疑いの目を向けていると、


「今度この銃と同程度の威力のある大口径ハンドガンはないか、武器屋に聞いてみることにしよう。あいつのことだからピーキーな武器は大体置いてあるか、なかったとしたらオーダーメイドで作ってくれるだろうし」


 神風は本当にこのアタッシュケースに入っているハンドガンと同じタイプの大口径ハンドガンを買おうとしているらしく、知り合いの武器屋にこのタイプのハンドガンはないのか聞こうとしていた。


 どうやら、神風が厚意にしている武器商人はアタッシュケースの中に入っているハンドガンのようなピーキーな武器を多く取り扱っているらしく、大体欲しいものは揃っているそうだ。


 もしも、欲しい物がなかった場合でもこの武器商人に言えば、オーダーメイドで作成してくれるらしく、神風はいつも武器の調達を行う時に助けられている。


 まあ、神風がピーキーな武器を使わなければ発生しない問題であるのだが、彼の性格上仕方ない。


 神風が厚意にしている武器商人に大口径ハンドガンを頼もうと決心すると、


「彪哉くんって、こう言う威力だけに全振りしたロマン武器が好きだよね。やっぱり彪哉くんはお父さんによく似ているよね」


 隣で神風の様子を見ていた結衣は相変わらず彼が威力に全振りしたロマン武器が好きだなあと呆れ気味に言った。


 そして、神風は父親によく似てロマン武器が好きなんだなと結衣から言われた。


「確かに、私がロマン武器を愛するようになったのは父さんの影響なんだと思う。いや、絶対にそうだ。兄さんたちや弟たちもみんなロマン武器が好きだったからね」


 ロマン武器が好きなのは父親に似ているからじゃないかと言われた神風は結衣の言う通り、自分は父親の影響でロマン武器が好きになったんだなと呟いた。


 そして、自分だけでなく、兄や弟たちの兄弟もロマン武器が好きであることから、自分がロマン武器が好きなのは父親の影響で間違いないと確信した。


 そうして、アタッシュケースのハンドガンについて話していたと言うのに、いつの間にか神風たちは関係ない話に発展してしまっていたのだった。






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