第2話「一家崩壊」
俺の妹は熱中しやすい性格だ。幼少期から好奇心
そしてこの間から、妹の新たな趣味であるタロット占いに俺は巻き込まれている。
夕飯の片付けが終わった後、俺はダイニングの
すると妹が口を開いた。
「そういえばさぁ、
「あぁそうだけど。どうかしたか」
彼女が仕事の都合で出ていくと決まって
「お兄ちゃんの彼女さん、どうして逃げていったの?」
妹は
「別に逃げた
「えー、でも帰ってこないんでしょ? 嫌われちゃったんじゃないの?」
「海外への長期出張だから帰ってこれないんだよ」
「それが本当だとしてもヤバくない? 日本人好きの外国人って多いんじゃなかったっけ?」
「……大丈夫だよ」
妹は「本当に大丈夫?」と心配そうに俺を見つめた。
俺が
「お前が
「じゃあ不安になってきたのね? OKOK、ちょっと待ってて」
妹はそう言って自分の部屋へと消えた。特に待つ気のない俺は、シンクに運んだコップを水道水で
「ようこそ、
妹は今回も雑なコスプレで占い師になりきっている。
「『ようこそ』って……どう見てもお前の方からやって来てるけどな」
俺達はまた向かい合わせに座った。
「今日は
「
「お前って普段からそうだけど、占いの時は輪をかけて人の話聞かないよな」
妹は急に大声を出した。なお会話は成立していない。
「
「勝手に終わらせるな、出張だから」
「あ、そう……。じゃあ適当に
「ホント適当だな」
妹がレザーケースからカードの
「今回も一枚だけなのか」
「そう、ワンオラクルよ。だって
「なら今すぐ勉強してこい」
「それじゃあ始めるわね」
妹は本のページを
妹は「カップの10。逆位置」と
よく見ると
「で、このカードはどういう意味なんだ?」
妹は真剣な
「は?」
「でも逆位置だから、
妹は
「どういうことだよ、それ。お茶飲む時に不便みたいな話なのか」
「10個目を買うと必ず割れるのよ」
「
妹は
「お前、前回は
妹はカードを手に取り、カップの10を観察し始めた。
「えーと、あぁこれは一族の
「
「いいえ。逆位置だからそうはならないわ。この場合、
「最悪な予言だな! テロリストか俺は」
また妹が変な事を言い出した。どうやったら俺の
「つーか、一族なんだからお前も
「確かに。それは困るわね……。じゃあその
「さて、どうリーディングするのが
「『どう言ったら一番傷つくかな〜』じゃないのよ! 一枚のカードからどんだけ悪口出てくるんだよ。そして嫌われてねぇよ!」
妹はニヤニヤしながら続けた。
「彼女にね、フラれます」
「そんなことねぇよ!」
「と言うか
「やめろよ!
「『不安』……。そう、それよぉ!」
突然、妹が俺の発言に食いついた。俺は「次は
「分かったわ。このカードは、このアパートでの生活を表していたの」
「ふーん、で?」
「つまり、私の占いに巻き込まれて不安な生活を送るという
「じゃあ全部お前の
実際、その
「では、今回の結果をまとめましょう」
妹は一度深呼吸をした後「助言、今後私に注意して過ごしなさい」と言った。
「お前が
俺の不安な日々はまだ始まったばかりだ。
つづく
『
どうもこんにちは、宮瀧トモ菌です。前回同様にタロットの豆知識を紹介してゆくコーナーをお届けいたします。今回のテーマは「小アルカナ」と「カップの10」の二つです。
大アルカナが表していたのは
では、カップの10の意味を見ていきましょう。
一方、逆位置では「不満、所属コミュニティでのトラブル、孤立」などを意味します。家族、友人、職場など、あらゆるコミュニティでのいざこざを表すので、逆位置で出ると非常に
では今回はここまで。さようなら、次回をお楽しみに。
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