はちゃめちゃリーディング
宮瀧トモ菌
第1話「スーパーダンサー」
俺の妹は熱中しやすい性格だ。幼少期から好奇心
これから始まるのは、そんな妹と俺の
休日の昼間、俺は水でも飲もうと台所へ向かった。扉を開くと、薄暗いリビング・ダイニングには水中を思わせるような環境音楽が
「……お前何やってんの」
俺は
「来ることは分かっていたわ。さあ、もそっとこちらへ」
俺は
「
常連客なのかと思っていたが初対面の設定だったようだ。色々と気になる所はあるが、俺は取り
「あらぁ? どうやら無意識でここに来てしまったから少し
「おい妹よ、俺の声は聞こえているか」
「ふふっ、でも落ち着いて考えてみて。それって意外と簡単なことだと思わない?」
ダメだ。全く話を聞いてくれない。ロープレのNPC相手に雑談を
「誰かに相談したいような心配事があった。それだけのことじゃないかしら、違う?」
「俺は『お前の今後』が心配だよ」
「OKOK、いいわ。占ってあげましょう」
妹は手にした
「じゃあ、このタロットカードで今から
「あ、お前を占うの?
「おかしな事言うわねぇ。
「言ってねぇよ。言ったけど、そういう意味で言ってねぇよ」
妹は少しだけ役を離れて「まあまあ
「うーん、まあ
「それに安心して。占いの手順は覚えたの。タロット占いの本も、ちゃんと二、三ページは読んだんだから」
「全部読んでからしろよ」
妹は
「
「じゃあ始めるわね。まずはシャッフル」
何事も無かったかのように妹はそう
「充分に混ざったらカードをまとめて――」
バラバラだったカード達が次第に妹の手の中で
「縦向きに置く」
再び
「それを一度三つの山に分けて、順番が入れ替わるようにまた重ねる」
妹はカードの山から一番上のカードを引いて、裏向きのままテーブルに置き「これで準備はOK」と言った。
「一枚だけでいいのか」
「そうよ、今回のスプレッドはワンオラクルなの」
全く理解できないが、俺は「そうか」と適当に返事をした。
「最後、カードは上下が入れ替わらないように、横に開く」
妹は本のページを
妹は「世界のカード。正位置」と
「で、このカードが出たから
「ふふふ、このカードは世界のカード」
したり顔の妹は胸を張って「つまり
「すげー
妹はカードに手を
「あら? 何かしら。タロットの神が
「大丈夫なヤツか、それ。精神科案件じゃないのか? 大丈夫か?」
妹は世界のカードを通してタロットの神と交信している。
「ふむふむ。今すぐ
「本当にか。そのアドバイス本当にタロット
「日程は
「嘘つけ言ってねぇだろ!
妹は口元を隠しながら
「お前さっきから適当言ってるだろ! おい、本出せ! 世界の意味を確認させろ!」
タロットの本を開いて世界の項目を読みたいだけなのだが、
「そうね。もっとカードの絵からも読み取ってみましょう」
「いや本出せって」
妹はカードを
「この女性は何をしているの?
「普通、裸でしないだろ」
「
「
妹は
「馬鹿だろ、お前。さっきから何言ってんだよ」
「では、そろそろ今回の占い結果をまとめることにするわ」
妹は一度深呼吸をした後「
「やっぱ俺、お前の今後が心配だよ……」
こうして、妹のはちゃめちゃな占いに巻き込まれるという俺の苦悩の日々が始まったのである。
つづく
『
どうもこんにちは。突然ですがここからは
それでは参りましょう。今回のテーマは「世界のカード」、「正位置と逆位置」の二つです。
タロットカードは22枚の大アルカナと56枚の小アルカナに分けられます。大アルカナは人生の物語が
そしてタロットカードには向きがあり、
次に、世界のカードの逆位置は「未完成、不達成」などを意味します。ちょうど正位置と真逆の意味ですね。それに加えて「限界、頭打ち」などを意味することもあります。……お気づきになりましたか? 実はこれ、良くも悪くも完成されたと
このように一つのカードにも複数の意味が与えられているのですが、どの意味でリーディングするかは
さあ、今回のコーナーはいかがでしたか? まあ初回なのでこの程度で充分だと思います。ちなみに私は多少タロットを心得ていますが、占い全般が大嫌いです。正直、全く信じておりません。はい。……さて余計な事を言ったところで今回はここまで。さようなら、次回をお楽しみに。
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