10. ブルースライム
お昼ご飯を食べて、1時になる前にログインする。
さてどうしたものか。
「宝箱はっと、あるね。ありがとう」
パッカン。
「お、おお、銀貨だ」
▼ドラスティア旧銀貨
銅貨が直径2cmくらいだとすると、直径3cmくらいだろうか。
少し大きい。
そして茶褐色ではなく銀色に輝いている。
少しだけ黒ずんでいるところが時代を感じさせる。
それがきっかり12枚。
表には剣と盾の意匠と1000の刻印。
裏側には王妃だろうか美少女の横顔が刻印されている。
こういう横顔を肖像画という意味のポートレートという。
銅貨のほうは、表に10の刻印、裏にはオリーブの木がデザインされている。
なんでオリーブだってわかるかって?
それは高橋さんに聞いたから。はい証明終わり。
真面目に答えると、スポーツ大会の優勝者の頭に巻かれる木の枝と葉っぱのオリーブ冠というのに似ているからだそうだ。
それに非常に似たものに月桂冠というのがあるがそっちは月桂樹、ローリエという。
よく見ると丸い実もついている。
ただし月桂樹もオリーブも似たような丸い実をつける。
「さて、他にはなにかないかな」
山頂付近を散策する。
崖を除き小さい草が一面に生えている。
特に採取ポイントでもないし、ただの草だ。
低木が1本だけ下の段に生えている。
これはさっきも言ったオリーブだった。
オリーブには実がなっていて
▼オリーブの実
まあそうだろうな、という名前で特筆することはない。
上の段には隅のほうに白い花が1株だけ生えていた。
手をかざすと「採取」と出てくる。
「おおぅ?」
今までオブジェクトを直接採取していたけど、これはいわゆる採取ポイントと言われるやつだろうか。
採取を選ぶと花が採れる。
当然、マップ側のお花は無くなって、手の中に納まる。
▼月日草
「つきひそう、かな?」
読みが書いてないから確定ではないが、なんだか薬効とかありそうな気配がする。
下の段を改めて見れば草の中に株になっている葉っぱがいくつもある。
一つとってみる。
▼レタス
あぁ確かにこれレタスだ。
キャベツみたいにはっきり玉になっていないから失念していた。
いくつもこのレタスは生えている。
そういえばスポさんもレタスを採取したって言っていた。
確かサンドイッチに使っていたから覚えている。
そこへ粒子が集合するようなエフェクトをまとってスポさんが現れた。
「はろはろ」
「こんにちは、スポさん」
「やっはろ。ぶいぶい」
「1時にこられたんですね。よかったです」
「はーい」
ハイタッチを交わす。
「あっ、1時の宝箱から銀貨が出たのでこれ、4枚渡しておきます。あと他の時間の宝箱も開けたんですけど銅貨でした。そっちも清算しますね」
「分かりました。ありがとう」
銅貨と銀貨を分ける。
「宝箱の詳細は分かったので後で説明します。さてスライム狩りでもしますか」
「そうですね、了解です」
二人で崖を降りてスライム狩りを開始する。
バフが切れているので、二人で計4回攻撃しないとスライムを倒せない。
「2回ずつ攻撃するのも面倒ですね。サンドイッチ使いますか」
「あいあい」
魚フライサンドを2つ食べる。
そうしてその周辺でスライム君を投擲でばしばし攻撃する。
ほとんどは普通のスライムだ。
でも注意してみていると、20匹に1匹くらい青いスライムがいる。
そして青いスライムは「ブルースライム」という名前で何割かの確率で「スライムの雫」を落とすことが分かった。
ちなみにスライムの雫は青くて水滴型をしている。
スライムゼリーはべっちゃりしているが、雫は固形だった。
>[ミスティ]のレベルが[7]に上がりました。おめでとうございます。
「おぅおう、レベル上がった」
「おめでとう~~」
「ありがとう。レベル7ね。スポさんは?」
「私は今11かなぁ」
「スタダの差か。最初にのんきに釣りとかしてたから」
「まあね。でも釣りもよかったでしょ」
「うん」
そうなのだ。レベルが上がりにくいことを気にしなければ釣りや採取も悪くはない。
宝箱探しなどのトレジャーハンター要素も面白い。
現在までに確保したスライムの雫は合計7個。
もっと検証をしたいところだけど、スライム狩りだけしていても、そこまで楽しくはない。
もともと私はあまり狩りに向いていない。
武器を考えるか。
弓でもいいけど、うーん。
あと遠距離職というと魔法かなぁ、魔法ねぇ。
MPポーションもあるから魔法技とかもあるんだろうけど。
今のところMPバーはあって120くらいあるけれど減ったことがない。
HPバーもスライムのカスみたいなダメージを除けばほとんど減らない。
HPもレベル1の初期値時点で100でレベル7で170。
自然回復は立ったままだと10秒で1回復。
座って休憩すると5秒で1回復。
寝っ転がったり、焚火、テントなどを使うと2秒で1回復だ。
これは検証結果を聞いてきた。
他にHP回復が増える料理やポーションがある模様。
ポーションはまだ未開発だけど、料理は例のレタスジュースがある。
今のところ唯一判明しているHP回復料理である。
まともなサラダとか作ればもう少し有用なHP回復料理になりそうな予感があるので、今度やってみよう。
ブルースライムを探して倒す。
「そうだ。今度ブルースライムを見つけたら1回攻撃だけして、様子見してみませんか?」
「あ、うん、いいよ」
ということで次の出現を待った。
それから何匹かスライムを倒した後だった。
▼ブルースライム
「お、いたいた」
「注意して見ていないと、気が付きませんね」
「そうだよね」
ちょっと色が濃いなとは思うけど、木の陰とかの影響で濃く見える子もいるので、見分けがつきにくいのだ。
「投擲!」
すでに魚フライサンドのバフは切れている。
「ぴぎゅ」
スライムのHPが4分の1減ったところで、様子を見る。
少し観察していたところ、スライムがピカンと光った。
「ぴぎゅぴぎゅ」
すると魔法だったのだろう、スライムのHPが回復していく。
「あぁそれヒールなんだ」
「ヒール使いの治療師だったんですねぇ」
すぐ倒してしまうので出番がなかったけど、ちゃんと特性があるのだった。
「どれどれ」
今度は拾ってきた木の棒でつついてみる。
嫌がるものの、特に反応はない。
またスライムがピカピカっと光ったら赤い火の玉が私めがけて飛んでくる。
「あっち、あちあち」
「だ、大丈夫ですか?」
私の170あったHPが120以上くらって55まで減っていた。
「ファイアだよねあれ、ファイア」
「そうみたいですね」
「魔法使いだったのか、ブルースライム君」
「魔法使いなんですねぇ」
もう少し観察してみたいもののHPが減ってちょっと怖い。
「倒してしまいましょうか」
「そうだね。けっこう観察できたね」
「はい。えいやぁ」
スポさんの連撃でブルースライム君は消滅していき、またスライムの雫をドロップした。
「お、ドロップ出た」
「よかったです」
「うん」
HPも残り少ない。
こんなことなら初心者HPポーションくらい買っておくんだった。
スライムしかいないからヘーキだと思ってた。
油断大敵とはこのことだ。
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