ラジオのサガ

ラジオ・K

旅のはじまり。

 ラジオは創る者である。

 ……失礼、ちゃんと事実を歌おう。創る者小説家、である。

 自ら紡いだ歌詞が評価され、流浪の吟遊詩人に歌ってもらうこと。それがラジオの夢である。


 ラジオは2編の歌を書き続けている。

 1つは季節が一巡しても尚、終わらず。永い歌。ラグナーロク後のミッドガルドを異界の色彩豊かに歌いあげる……予定の歌である。

 そしてこれより始まる短いサガは、もう1つの歌に関係する。


 その歌は冬節ふゆふじが始まってから、月の満ち欠けが2回と半頃に、唐突に思いついて歌詞をいじり始めた。

 内容は、こうだ。

 ミッドガルドはその地に住まう囲いの民によって空気が熱し始める。ミッドガルドを覆いアースガルズへと続くビフレストがブ厚くなったのが、その表れだ。

 そんな時、突如として樹が生える。途方もなく大きい樹。まるでユッグドラシルのような。降り立ったユッグドラシルは何の因果かミッドガルドを冷まし始めた。囲いの民は大混乱…………という。


 ラジオはその歌を楽しみながら紡ぐ。それにあたって蜘蛛網の古物商から購入した地図を眺めると、歌に登場させるによい場所を見つけた。

 その地、大分という。

 ラジオの居留地から見て、そこは遠方。行くには幾重もクジラの海を超えねばならぬ。もしくはイーカロスのように飛ばねばならぬ。いずれにせよ、独りでは色々と辛い。ラジオは寂しがりやである。


 ところが、そこに一筋の光が舞い降りた!


 ラジオにはTwitterという商売組合を通して得られた文通仲間が何人かいる。

 その中に大分の居留地にいる者がいて、ラジオにその意思あれば偵察取材の旅に同行できると返事があったのだ。


 ラジオはその申し出に狂喜乱舞、太陽が2回ほど回った後、有り難いその申し出を受け入れる、と返事をしたためた。


 このようにして、ラジオのサガは始まるのである。


こんにちは、こんばんは。

作者です。

次からはバイキングサーガ的ノリは控えめにしつつ書いてきます。


現在

「異形次元𐤏𐤍色彩染侵星怪史譚。」

「樹なんて大っ嫌いだ!~突然生えた巨大樹共のせいで地球は寒冷化したので破壊しようとしたんですけど、なんもかんもうまくいきません。ダンジョンのせいで~」

という2つの作品を連載中です。


このサガ……のような何かは後者に関する取材旅行となります。

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