羨望
天人五衰の白いちご
借り物のドレス 可愛らしい
お下がりの口紅 汚らしい
何もできない癖に 図々しい
綺羅綺羅輝いて 鬱陶しい
雑誌の表紙を飾るあの子
虫歯でドロドロに溶けた歯
氷柱のようになって 今にも溶け落ちそう
行き交う人を誘っている
往来を彷徨う亡霊
可愛ければいい 可愛くなければいらない
気に入らないものは無視する
要らないものは缶詰の中
封を解くことも忘れてしまった
鏡の中にあなたが映っている
あなたを見るために鏡を見ている
私はあなたに話しかける
もう遊ばないと言ってみる
それでもいいよと返事が来る
もう遊びたくないと言ってみる
好きにすればといい加減
指切りをする 硝子で指が切れる
血溜まりが凪いでいる
また遊んでいる 懐かしい
白々しい
知ろうよ 屍蝋 ハンド・オブ・グローリー
思い出は綺麗な小物に加工して
キャビネットの一番下へ
色褪せないように
あの日繋いだ手が色褪せないように
戸棚に隠して 自分でもわからなくなってしまった
でも
この世の中に要らないものなんてこれっぽっちもないんだか
raaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa……
それ本気で言ってるの? 最高
アンタレスのように瞬く瞳
そんなに広い心はない
瞼を着飾る黒鳥の羽
飽きたら剥がす付け睫毛
頭蓋を覆う銀糸の束
二秒で黒く染められる
どれをとっても嘘ばかり
美しい笑顔
あなたは卵の内側にいる
小さな割れ目から切り取った写真をばら撒いているだけ
切り取った言葉をばら撒いているだけ
バラバラ肢体は死体の痴態
誓いは十字架 果実は無実
ふらふらルフラン腐乱犬
腐って欠けてもそこにある
水面の月はここにはない
あの子と一緒の列車に乗らねば
天人五衰の白いちご
フィラリアと狂犬病
ソナチネ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます