Live and learn. / 2xxx年 東京


     ***


 西暦2xxx年。

 季節は冬の中頃を過ぎ、つまり、春の息吹を感じ始める頃であった。

 〝東京〟。

 電光掲示板が街の中の中心にそびえ立ち、道という道は人の往来で溢れかえっている、それは活気という明るい言葉で示すコトができるだろう。

 若者が、笑顔で、仲間たちと談笑している。

 サラリーマンが、一生懸命な顔で、街中を歩いて何処かへ向かう。

 老夫婦が、流れの速い往来の中を、ゆったりと落ち着いて動いている。

 各々が、各々の時間を、各々の在り方で過ごしている。


 〝平和〟。


 まさしく、言葉にして表すのであれば、ソレが妥当な表現であろう。

 血なまぐさい戦争が、過去に、何度となく繰り返されてきた。

 人間と人間の衝突、ソレは、必要な痛みであったと言えるのか。


 ただ、そのすべてを乗り越えた果てに、人は笑える時間を取り戻している。


 人という存在は、時に愚かでありながら、最後はやはり美しく生きるものである。

 深い深い傷痕も、時間の経過と共に、確実に癒えていく。

 ソレは、人の子が持つ、強さの側面の一つだろう。


 その上で、一つ、は、人の子が持つ醜さである。


 少年は、ソレを、小さな身体で理解していた。

 達観。

 周囲の人間さえ、驚く、その少年の在り方には。


 〝正義感〟。


 徹底して貫き通すだけの、強い、有無を言わせぬなにかを持っている。

 そして――。

 その傍らには、常に、一人のな少女が付いていた。

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