第8話
「ねえ、私イベントで疲れてるからもうシャワー浴びて寝たいんだけど」
「そう」
「『そう』じゃなくてさ。あんたって、ずっといんの?」
「……自分勝手やね。俺は招かれて来たってのに」
「偶然召喚できたんだって。それはあんたも言ってたっしょ?」
「ま……、良い。これぐらいで良いか」
雷が落ちて、部屋の電気が消えた。真っ暗になって何も見えない。
数秒して電気がついた。その時には景壱の姿は消えていた。
「一つ言っておくけど、照明が消えたんであって、電気は消えてない。電気はある」
声が頭に響く。何処にも姿は見えないのに、景壱の声だということは理解できた。
日常で普通に「部屋の電気消して」って言うんだから、間違いじゃないっしょ。何言ってんの。神と人間じゃ感性が違うからわからないもんか。仕方ないねぇ。私が教えてやらないとね。
「あなたの側にいなくとも、俺はあなたを見ることができる。ずっと見られていることを努々お忘れなく。あなたが
低くとも高くとも言えない中性的でよく響く声が頭を揺らす。歌うように軽やかだというのに、言葉のひとつひとつに何か得体の知れない重みを感じる。
キーン……、と耳鳴りがして私はその場にしゃがむ。立っていられない。何だこれ、発作か? スマホが光っている。通知が並んでいる。フォローされました? 誰に? 猫乃? 何であいつがフォローしてくるんだよ。私の作品を参考に何か書くつもりか? そういうのほんとやめてほしい。人気者になるとそういうことばっかだから、大変だよなぁ。
でもこれでちょうどフォロワーが500人になった。猫乃のフォロワーは何人? へえ、たかが100人しかいないんだ? 特殊性癖だもんなぁ。ついでに春雨のフォロワー数は? 798人。どうせ数増やしのやつらフォローしてっからだろ? 作品見てくれてないって。かわいそー!
「まっ、しょうがないからフォロバしてあげよっかな」
フォローボタンを押す。私の地雷には配慮してくれよ。一応投稿しとくか。
無言フォロー歓迎ですが、プロフを一読しておいてください。有償依頼についても記載していますので、参考にしてください。先にDMでご相談いただくとスムーズにお取引ができます。
よし。これで投稿! すぐにいいねがついた。何でこれにいいねするんだよ。作品にはいいねしないくせに、こういうのばっかいいねして何なの? 読みましたアピール要らねぇっての! 私にミュートされないようにアピール必死な感じ? 残念ながらお前はミュート済みでーす! 私のイラストにケチつけてんじゃねぇっての!
こんな無価値なやつにかまう時間が勿体ないわ。さっさとシャワって寝よっと!
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