ロンデルフィーネ王国物語 ~シャロンウィンと悪の魔女~

Quill pen

プロローグ

 シャロンウィンは陽の光を浴びて目を覚ました。

 いつものように、フェルカの森の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、お気に入りの木の上の寝床から身軽に飛び降りる。

 ヒューッと長く口笛を吹くと、軽快な足音と共に、木立の間から美しい一匹のユニコーンが姿を現した。


「おはよう、チェルニー!」


 チェルニーは雪のように白いユニコーンで、角と尻尾、たてがみは、そこだけ光が差したように金色に輝いている。

 彼は、このフェルカの森で一人暮らすシャロンウィンの一番の友達だ。


「さあ、今日も行くわよ!」


 シャロンウィンはチェルニーに飛び乗り、言った。

 鞍も手綱もないが、チェルニーはどこに行けばいいのか分かっていた。

 チェルニーは走り出した。


――風のごとく、光のごとく。


 シャロンウィンの、彼女の背丈よりも長い金色の髪がなびいた。

 こうして、シャロンウィンの朝は始まるのだった。


 チェルニーに乗ったシャロンウィンは、森の木々や動物たち、妖精たちに挨拶し、川で水浴びをし、木の実と果物の朝食を食べた。


 この広いフェルカの森には、彼女の他に人間はいない。


 そして、シャロンウィンには森に生きるもの全てが友達だった。

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