わたくしは闇の世界に入る
乙女ゲームの中のクラウディアのお話しです。
これはあくまで if story です!
▫︎◇▫︎
side. クラウディア
わたくしは焦っていた。
ずっとずっと必死だった。
なのに、お父さまは、周りの方達は、わたくしのことを認めてはくださらなかった。
『………ライアンを次期当主に任命する』
13歳、入学式直前に、わたくしは当主としての資格を奪われた。お父さまは残酷だった。必死だったわたくしに、たったこれだけしか言ってくださらなかった。何が駄目だったのか、何が足りなかったのすら、教えてくださらなかった。
『お嬢さまみたいな不気味な疫病神が公爵にならなくてほっとしたわ~』
『そうね。私達も呪われなくて済みそー。あはははは!!』
メイド達の陰口は日に日に悪化していき、わたくしの屋敷での地位と居場所は、あっという間に消え去った。なのに、彼はそれだけでは許してくれなかった。
『義姉上、逃げるのですか?』
綺麗で残酷で天才な義弟は、わたくしのことをずっとずっと恨んでいる。
確かに、意地悪をして
けれど、お義母さまが亡くなったアレは
お母さまが大好きだったという美しいお花の上に落ちて、真っ赤な血のお花を満開に咲かせたお義母さまを、私は呆然と眺めていたのだ。
『俺から全部を奪ったあんたから、俺は全部を奪ってやる』
わたくし自身は何にも彼から奪っていない。でも、彼はわたくしが彼の全てを奪ったと言った。
そして、わたくしは16歳の学園の卒業パーティーで婚約者たる第1王子から彼の意中の相手をいじめたとして婚約破棄され、国外追放になった。彼は宣伝通りにわたくしから全てを奪っていった。わたくしはいじめていなかったけれど、彼がわたくしのいじめの証拠を捏造したらしい。
わたくしにはもう、何もない。
元々必要最低限だったのに、彼のせいで何もなくなった。愛する相手がいる彼が、心底羨ましくて、憎かった。
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