奥女中『秘事作法』
海石榴
第1話 秘事作法とはいかなる書か
江戸時代には、江戸城の大奥をはじめとして、各藩の城内に「奥」が設けられていました。
そこに勤める奥女中たちは、殿様に一度でも寵愛を受けると、奥の秘密を知る者として、たとえ実家に戻っても不自由な生活を強いられることになります。
この性の秘伝書『秘事作法』は、奥女中勤めの折、岡山藩の当主に見初められ、寵愛を受けた人物ですが、子宝に恵まれず、のちに先君の菩提を弔うという名目で出家の身となりました。ありていに言えば、「奥の秘密」を守るために、強制的に出家させられたのです。
しかし、秀麗尼は、出家後、奥女中たちのためだけの門外不出の書として、この秘伝書を綴りました。秘伝書ですから、外部の人間にはきわめて分かりづらい隠語のような語彙が多用されています。
また、『秘事作法』は上中下巻があり、上の巻には、若君の性器を「鍛える」ための性の手ほどが詳細に書かれています。中の巻には、奥女中たちに自慰の仕方をきわめて具体的に指南しています。さらに、最後の下の巻には、現代でいう婦人病にかからないための注意事項とその治療法、強精剤の作り方などが記されています。
それでは、いささか露骨な表現もやむなく出てくるとは思いますが、若君に対する「性の英才教育」についての上巻部分を次回から紹介してまいりましょう。
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