第16話 弾けるジャネット

 ゴブオはジャネットがすんなり了承してくれたのを意外に思った。こっ酷く鞭でなぶられる可能性も覚悟していた。もっと「正夢日記」に書き込む文章を考え抜けばよかったと後悔しかけた。しかし杞憂であった。よっしゃ!

 ジャネットとしては彼女なりに効率を重視した結果である。胸を好きにされても扉が開かなければ、ゴブオを殺害する心積もりである。その心を包み隠さず表情をより鋭くさせて彼女はベッド上に仰向けになった。


「これは恐らく夢です」

 とゴブオは言った。

「何故わかる? 俺はこんな意識が明確な夢を見たことがない」

「僕も意識はしています。そうですが、夢じゃなきゃ奇妙が過ぎます。こんな空間、現実に存在し得ません。考えるに……」

「何でも良いから早くしろ」ジャネットはゴブオの言葉を遮った。「焼くぞ貴様」

「はい」手を乳へ伸ばそうとする。ぺしり、撥ね退けられる。

「ちょっと待て」


 どっちだよと思いながら待つ。寝そべるジャネットは、怖い顔を維持したまま目をつむり、深呼吸した。ゆっくり目を開けた時には、その顔は無であった。感情が見当たらない。「よし、やれ」


 ゴブオは彼女のお腹の上にどっかり座った。お尻の鞭の傷がずきずきする。そう、この雌犬に付けられた傷だ。夢でも痛いだなんて! 両手をがっと伸ばし、掌一ぱいに、乱暴に牛乳うしちちを揉みしだく。爪の食い込まぬ程度に十分の指を曲げる。

 アリナさんの場合はぽいんおっぱいであったが、こちらはボインである。こっちの方が張りがある。どっちも素晴らしい。


 暫く弄んでいるうちに、二つのまん丸い山の頂上が突起し始めた。それに気づきながら、ゴブオはジャネットを顔を見る。面白くない。真顔である。これを崩さねば行けない。


「乳首は刺激してませんが、大きくなってきましたね」

 と挑発する。

 ……返事なし。ちっ、舌打ち。ずっと天井見上げていやがる。ちょっと弄っただけで乳首が大きくなったんだ、何も感じてないのは嘘である。


 ジャネットが何も言わぬので、ゴブオは右の乳首をシャツ越しにつまんだ。人差し指と親指できゅっ、ぎゅっとにぎにぎしたり、さわさわ撫でるようにその表面を愛する。乳首は硬さを増したが、それでも無表情。手を乳から離して伸びをする。不感なのかな。”感度倍増”のスキルが効かなかったらどうしよう。


 ふと、ゴブオはジャネットの右手に視線を移した。手の周囲のみ、ベッドシーツがしわくちゃになっている。もう一度右乳首をきゅっとつまみ、ゴムのような、硬いグミのような感触を楽しむ。彼女の右手に注意を払いながら。すると右掌がばっと開かれ、細かく震え、乳首に与えられる続けている感覚を逃そうとする如く、シーツをぐっと掴みねじった。


 ほっと安心すると共に、ゴブオはジャネットの顔を見やった。未だ真顔だ。だが、顔意外は割に正直らしい。


「あんまり気持ちよくないのかなあ。あっ!そうだ」

 とゴブオはわざと大袈裟に独り言ちた。

「なっ、おい、何をするつもりだ」

 ジャネットは意識せず状態を起こした。ゴブオは強制的に後転、すってんころり。小学生の時分を思い出しながら、景色が白くなったり、紫になったり。

「僕がさっさと満足できそうな考えが浮かんだだけです」ゴブオは立ち上がる。「酷いことはありませんから、さあ、寝そべってください。ひょっとして、さっきの触れ方が嫌でしたか。何か感じたのですか」

「何を言うか。触れてるのか分からなかったくらいだ」


「何を言うか」はこっちの台詞だとゴブオは思った。動揺は明か、口調、表情に出ていた。鋭利な瞳の色は不安に曇り、心はきっと穏やかじゃない。


 まあまあと、ゴブオはジャネットを宥め再び仰向けにさせた。


「では、服を捲りますね」

「捲るだと、何故だ」

「満足できないからですよ」


 ジャネットは返事しないで、視線を天井にあてた。ゴブオはそれを了承の照明だと受け取り、カーキシャツの裾をすっかり捲り上げた。

「わお」

 と彼は感嘆の息を漏らす。見事な肉体である。筋肉と、女性らしい脂肪が程よく纏わって、素晴らしい均整が構築されている。軍服纏っていれば恐怖の長身筋肉巨乳だが、脱げば男は堪らない。


 乳房はでっぷり大きく、肉体との不均衡がより女性らしさを増長させ、ゴブオを興奮させた。乳首は長めで、つまみ吸いやすそうに設計されている。


「綺麗だ」

 とゴブオは本心から言った。

「ふんっ。貴様に褒められたところで嬉しくない。いいから終わらせろ」

「わかりました」


 ゴブオは乳首の周囲をもにむにしながら、人差し指で長い乳首の、高いところをちょんちょん撥ねた。みるみる左の乳首も成長し、準備は整った。


「ちょっと刺激が強くてびっくりするかもしれませんが、乱れないでくださいね。さっきみたいに」

 ゴブオはその指全てに”感度倍増”を発動させた。

「さっきとはなんだ。そもそも俺は何も感じていない」

 ジャネットは強気に言って、体も微動だにしなかった。

「そうでしたか、申し訳ありません」


 ゴブオはそっと二つの乳首をそれぞれ手の人差し指、中指、親指の腹で覆って、軽くつぶすように刺激を送った。


「ふうっ」

 ジャネットはここで初めて、真一文字に閉じていた唇から息を漏らした。かつて感じたことのない刺激。乳首から得体の知れないふわふわしたものが徐々に体全体へ拡がって行く。そうして、既に感じていたシーツや照明の明るさなどの情報が不明瞭になり、薄くなる。

「ふあっ。やめろ」

 ジャネットは咄嗟にゴブオの手を掴んだつもりであったが、殆ど触れただけであった。力が入らないのだ。


 刺激が足先から脳天にまで拡がった頃、ジャネットは乳首から何かがはじけそうになるのを感じていた。それに抗する術は彼女になかった。

「んあんっ」

 

「やだやだやだ、きゃんっ!」

 ジャネットはゴブオを喜ばせる高い声上げて、両手でシーツを千切れそうに握って腰を仰け反らせた。ゴブオは驚いたが、何とか姿勢を崩さす、乳首を弄り続けた。


 弾けた雌犬は、全身をくねらせて、横向いた。尻尾もくねくね、可愛らしい。


 


 


 


 



 












 

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