第10話 嬌声きたり

「ママ」とゴブオは言った。「そろそろ、ベッドに寝転がろうよ。眠くなってきちゃった」


 無論、ゴブオに眠気は一切ない。あるのは、乳房への渇望である。童貞の青春はおっぱいだ。他に、興味持って資料集めすべき概念、事象、云々かんぬん、彼にとってありません。でも、勉強は頑張ったほうが良いかもしれないと、彼なりに思っている。そう先人がよく、後悔の言葉を口にしているのを聞くから。悲しいかな、先人の言葉たちは、ゴブオには葉がおでこをかすめる程度にしか響かなかった。


 だからゴブオは、高身長でおっぱいでっかい女のことしか、高校生活で考えていませんでした。それが彼の好みなのだ。今回購入したギャルゲーも、女たちの特徴が好みにぴたり合致したから、購入したのだ。


 アリナはゴブオのお願いを、躊躇することなく承諾した。彼女はすっかり、ゴブオのことをタロウマルとして扱っている。かつての愛しきぬいぐるみが、命持って戻って来たと、思い込んでいるのだ。これは、ゴブオにとって絶好のチャンスである。


 アリナは倒れるように、横になった。おっぱいは、上からの重力によって、すこし外側にひろがった。彼女はゴブオを迎え包むため両手を彼に伸ばした。そのため、ゴブオからは、垂れた外側が隠れた。


 ふと、ゴブオに不安が過る。棒が大きくなっていることが、彼女に明るみになるのではなかろうね、という不安である。まるで犯罪行為であるかのように、自らの股を見る。おや、全然膨らんでない。股の、むずむずした感覚はあるのだが……。


 ゴブオの脳裏に「勃起不全」という言葉が、さっと通り過ぎた。通り過ぎたから、あまり気にならなかった。何せ、目の前には女が居るのだ。それで、元気にならぬ筈はない。世の中には道理がある。刺激してくる女が目前にあり、元気にならないのは道理に反している。不自然だ。だから、抱き着いているうちにきっと起き上がる。


 襲いかかる。腹の上に堂々と座って、乳房を手のひらいっぱいにつかむ。そんなゴブオをアリナは、優しく見守っている。見守りの視線に、ゴブオは気づかない。おっぱいに夢中。左手では小指から順番に、指を押しやったり、右手のほうではむぎゅむぎゅしている。おもちゃ。


 アリナもまた、ゴブオ、いやタロウマルのきらきらした瞳に夢中になっている。未だ、タロウマルの正体に気付いていない。


「もっかい、ぎゅっとさせておくれ」とアリナは、ゴブオの手を半ば強引に寄せた。

 ゴブオは、前腕の中ほどを握られ引っ張られた。アリナにしてみればそっと、綿毛が舞う調子で、握るというよりは包んだつもりであった。だが実際は、ゴブオの手はにぎっと血流が止まるくらい強く握られていたし、強く引っ張られたせいで危うく肩は外れかけた。


 ゴブオはアリナの怪力に面喰らいながら、女体のたっぷり柔らかいところに身を預けた。幸運、彼の口元は磁石と磁石が惹かれ合うように、アリナの乳首に近づいた。彼は幸運だと思ったけれども、アリナはそうではなかった。彼女は意図して、タロウマルを自らの突起に引き込んだのである。もはや、彼女はママなのだ。


 念願叶って、乳首が口中にあるが、どう愛撫したら良いか分からない。とりあえずと、ゴブオは唇で軽く啄んでみる。アリナは、ちょっと息を漏らして微笑んだが、特別快感を覚えた様子はなかった。そこでゴブオは、啄みながら、乳首を引っ張ってみることにした。そうしたのは、さっき強引にされた仕返しの気持ちも、あるにはあった。


 すると、アリナは「んっ」と色気のつぼみをかすかに開かせた。ゴブオは、アリナの乳首をぴんと指で撥ねたときのことを思い出した。そうか、ちょっぴり強いくらいで、良いのかもしれない。


 アリナは、乳首をななめに引っ張られたものだから、おっぱいが卑猥なテント。手が離されると、弾力もあるから、それで元に戻る。


 ゴブオは今度は、梅干し食ったように唇すぼめて、乳首をちゅうちゅうした。もひとつの乳首は、手でつまんだり、指で何度も撥ねたり、引っ張ったりする。


「タ、タロウっ。そんな風に、触っちゃダメだ。あっ」アリナはそう言いながら、ベッドシーツをねじるようにした。

 彼女は、その身体の快感を、自覚しつつあった。同時に、自分の胸を遠慮なく揉んだり吸ったりしているのが、タロウマルではないことも。そうだ、ゴブオだ。タロウマルなんかじゃない。


「おい、もうそろそろ終わりに」彼女は、平生とは比べものにならぬ弱い声で言った。その時、アリナに波が起きた。それは、彼女の両の乳首を起点とした波であった。うねりから始まり、彼女も気づかぬうちに大きく、打たれていた。


「んおっ!」アリナは思わず、下品な嬌声を漏らす。そうして、痛いくらいにゴブオを抱きしめた。


 アリナの中に起きた波は無論、ゴブオの愛撫が原因である。ゴブオは全身の締め付けによる痛みを感じながら、”感度倍増”のスキルを獲得した。





 長らく、更新できず申し訳ありませんでした。そしてこのエピソードから、三人称視点で書くことに決めました。これも、突然で申し訳ありません。主人公以外の心情も、描写できるからです。このような物語ですから、そのほうがいいかなと。


 皆様の日常の、ささやかな暇つぶしの一助となれるよう、これからも執筆します。可能な限り、毎日更新目指します。


 それでは、今日もありがとうございました!


 


 

 


 


 


 


 

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