第146話 及川隆臣 ④
———軽音部に所属して、セントフォーの三人とよくお話をするようになった。廊下ですれ違えば気軽に挨拶をして、お昼休みとかに顔を合わせれば、昨日のテレビ番組の話とかも当たり前のようにしては盛り上がる。先輩方も言ってるが、セントフォーなんて誰が付けたか知らないが、話しをしてて思い知らされる。関わりを持つ前「オーラが……」とか俺自身言ってたけど、それは単に俺自身が作った壁で、先輩達もただの女の子だ。ただ、人より容姿が淡麗ってだけのただの女の子に過ぎないのだ。因みに陽葵先輩はおっぱいからのオーラは揺るぎなく感じている。
セントフォーの四人と仲良くなりたいと、全校生徒の殆どが思っている。実際、彼女達と普通に
彼女達が壁を作ってる訳じゃなく、相手が勝手に壁を作っているのだ。
そして最近現れた実莉亜という存在。
彼女曰く、先輩達と関わって二年生の頃の正吾君の気持ちが少し分かったと。これはキツイ。セントフォーの隣に立つだけで注目を浴び、そして明らかに陰で何かを囁かれている。しかも、紗凪ちゃんまで可愛いから、余計に実莉亜が目立ってしまっている。
そんな実莉亜に詰め寄る子が出て来た。二年生で一番可愛いと言われている子達が集まってる集団だ。しかも彼女ら自分達の集まりに「
彼女達の言い分は以下のとおりだ。
「お洒落じゃない子はセントフォーと仲良くするな」「セントフォーに近付いていいのは『Berry‘z』の私達だけ」
———意味が分からない。セントフォーの意思はどこ?
実莉亜を始め、軽音部の後輩達は先輩達に近付きたくて近付いてる訳じゃない。気が付くと、セントフォーが傍にいるのだ。若しくはセントフォーの傍にいるのだ。友達とかってそういうもんだろ?
そして文化祭の準備が始まる。うちのクラスは「フォトルーム」ってのをやるらしい。背景になる絵とかモチーフを作って、それをバックに写真を撮って楽しんで貰おうって寸法だ。
一応、作業グループを分けられてたが、放課後、俺はそのグループで作業をしていた。すると、グループから離れて一人で作業をして居た実莉亜に、Berry’z(笑)の面々が実莉亜の机の周りに集まって来いた。
「ねえ、遊佐さぁ、最近なんか目立って無い?」
「え?———まぁ……うん。こうして皆に囲まれて大きな声出されたら嫌でも目立つね」
「はぁ? 馬鹿にしてんの? んな事言ってんじゃねーよ! なんで、お前みたいなモブがセントフォーと連んでんだって話だよ!」
コイツら何が言いたい? 目立つ話か? セントフォーとの関係か?
「それは……部活一緒だし……」
「んな事関係ねーっつってんだろ! 大体何でお前みたいなのが軽音部入ってんだ? 不自然だろ?」
さっきから論点がズレまくってて何が言いたいのか全然見えてこない。今度は軽音部に入ってる話になってる。
「一応、誘われたから……波奈々ちゃんに……」
「んなわけねーだろ! 何で浅原先輩がお前を誘うんだつーの! そもそも、浅原先輩を『波奈々ちゃん』なんて何気軽に名前呼んでんだよ!」
「あー、それ、軽音部の規則だから。先輩命令で言わされてんだ。それに、彼女を軽音部に一番最初に誘ったのは波奈々ちゃんな」
俺は剛を煮やし、実莉亜とBerry‘zの話に割って入った。
「はぁ? 及川、何話に割り込んできてんだ! 無関係な奴はあっちに行ってろ!」
「無関係じゃねーよ! 俺だって軽音部なんだ。知ってるだろ? 丹菜ちゃんも陽葵ちゃんも俺んとこチョイチョイ顔出すし、正吾君と大地君だって一緒に顔出すじゃん」
「お前も何気軽に先輩らの名前『ちゃん』とか『君』付けて呼んでんだよ!」
「だから軽音部のルールっつってんだろ? お前、人の話聞いてるか?」
「ルールでも気軽に名前呼ぶなっつってんだ!」
「ってか、単に羨ましいだけだろ? セントフォーとお話して、んで、名前で呼び合いたい仲になりたいんだな?」
俺がそう言うと、Berry’zの言い合ってた一人が顔を真っ赤のさせて慌てて否定して来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます