5年ぶりに再会した、小学生のときに俺が一目惚れした美少女はとある呪術にかけられていた

トドキ

たけるの過去

 放課後の誰もいない教室で、一人の少年(俺)が止まらない汗を拭いて、緊張した感じで立っていた。六年二組の教室、俺が小学六年の時に過ごした、ずば抜けて記憶に残ってる場所だ。


 夕日に照らされたシチュエーションで、俺は最初で最後の経験をしたんだから。


「ねえ、たけるくん、話ってなあに? 」


 そのときの俺の目の前には、愛沢すみれがいた。彼女は小学生のころの俺の親友でもあり、同時におれが気になってる人でもあった。


 なんたって、彼女は学校のマドンナ的存在で、男子にも女子にも憧れられる美少女。もう卒業が迫ってるし、中学校が同じになるとは限らないから、この時に告白しておこうと思ったんだ。


「あの……実は、ずっと好きでした! 付き合ってください! 」


 俺は頭を下げて、目をこれでもかというくらい閉じて言った。そのとたん、すみれは「えっ」とだけ声を出して、顔を赤らめた。どうすればわからないという表情だった。


 あの頃の俺は、正直、最初の恋だったし、行けると思ってた。恋愛というものは、大体かなうものだと思ってた。けど、そんな俺の期待に反して、帰ってきた返事は冷たいものだったんだ。


「……ごめんなさい……ごめんなさい」


 何故か、彼女は涙を流しながら、こう何度も言っていた。俺は頭を下げたまま、ずっと固まってた。



 そうだ、俺はフラれたんだ。



 この苦い記憶は、できれば忘れていたかった。小学校を卒業して彼女と離れ離れになっても、そのまま高校に入っても、思い出さなくていいと思ってた。


 すみれとは一生かかわらずに生きていけると思ってた。


 ……でも、無理みたいだ。


 だって、運命のいたずらか、彼女と俺は、また出会うことになってしまったから。


 



 


 


 


 


 


 



 


 


 

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