俺は魔王だ。

@mnaccc

第1話

桜の葉が舞う道を彼は歩んでいた。


少々カールが入った黒髪、背は平均くらい。

制服の姿で鞄を背負う彼は新入生、青々しい

青春の真ん中で、その真ん中の中でも最も青い高校生活が始まるのだが…彼は浮かれた様子は微塵も見せず無表情で道を進んでいった。


数得きれない桜の中を歩んでいた彼は足を止めた。

そして、


「はあっ、時よ!止まれ!」


突然の事だった。


彼の言葉が道に虚しく響いた。

隣を歩いていた同じ制服の茶髪の少女が「え」と驚いた様子もあっという間に消して関わらんばかりに早足で去って行った。


驚かせた張本人は気づかず「やっぱりダメなのか…」と呟いていた。


*


入学式はあっという間に終わり学生たちは掲示板を見て分けられたクラスに各自移動を始めた。


彼は B クラスだった。

彼はふむと頷け1年b組を探し窓際の後ろの席に着いた。少し学内を迷ったが新入生にはありえることだ。


窓の向こうは青く透き通るような空。

雲の白一粒もない青空だった。


「雨よ!」


クラス中に彼の声が響いた。

「ひっ!」

ビクッと隣に座っていた少女が跳ねた。

HRを待つ生徒たちの視線が集まった。

「雨よ?」「なんだあいつ…」「ヤバイな…」

「え、雨降ってるの?」

様々な呟きが聞こえるが彼は気づいていない。

隣の茶髪の少女はいかにも引いたようだった。


(え?!またこの人?!!)

まさか同じクラスだったとは、それも隣の席だとは、と驚いた様子だった。

周りを見渡すが席は残っていなかった。


「……」

座るしかないか…と早くも諦めて思った。

大変な日々になりそうだ…

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