第31話 【閑話】 邪神の褒美②

「瞳、目を覚ますのじゃ」


「瞳…瞳、目を覚ますのです」


凄く澄んだ声が聞こえる…この声はエグゾーダス様にコーネリア様。


「邪神様? どうかされたのですか?」


まさか、また会えるとは思わなかった…


「あ~あ良い、お主が我に連なる存在になったから、気持ちが伝わってくるのじゃ…さっきから『超美少女』『可愛いい』が伝わり過ぎて困るのじゃ」


「本当に困ります『絶世の美女』とか『綺麗な髪』とか、うふふ嬉しいですが…今は余り私達の事は考えないで下さいね」


「解りました…こうですか?」


「それでも、はずいのじゃ…まだ、まぁ良い、我からは『真魔聖剣サングラン』を…勇者にとっての聖剣みたいなものじゃ」


「私からは『ウリュアの鎧』をこれは私の姉の魂が宿っているんです。きっと貴方を全ての敵から守ってくれますよ」


どちらも、凄く綺麗な武器、防具だ。


だが『ウリュアの鎧』の女性のレリーフ…本当に女神にしか見えない。


姉の魂が宿っているというだけあって、コーネリア様を更に大人にした妖艶な美女にしか見えない。


「『ウリュアの鎧』これに刻まれているレリーフ…これがコーネリア様のお姉さまの姿ですか…凄く美しい姿ですね。生きて会えなかったのが残念です」


俺がそう言った瞬間…『ウリュアの鎧』が光り輝き。


自動的に体に装着された。


そして『真魔聖剣サングラン』も光り輝き俺の手に吸い寄せられてきた。


よく見るとこの剣も柄の所に美しい女神の様な女性が刻み込まれていた。


「この柄の女性は…」


「うむ『太古の邪神サングラス』の魂を我が呼び出して込めたのじゃ、その柄に刻まれた姿こそが、恐ろしいサングラスの姿じゃ」


これが恐ろしい…俺にはこれ以上ない美しい姿にしか見えないな。


「恐ろしいのですか? これほどまでに美しい剣なのに…」


「お主、邪神サングラスが美しいと…」


「お姉さまも美しく見えるのですね、凄いわ」


『エグゾーダス、随分と偉そうにしていますね。わらわを『美しい』と言ったのがそんなに可笑しいのですか』


『コーネリアも可笑しいわ『お姉さまも?』ってどういう意味かしら?』


「さささサングラス様が何故顕現されているのですか?」


「お姉さま! なぜ顕現できるのでしょうか?」


『邪神の中の邪神のわらわを美しいなどと…照れるではないか、この体がすでに滅びなくなっているのが口惜しい…なぁにわらわが付いておる…魔王も勇者…邪神も願うなら滅ぼしてくれるから安心しておれ』


『そうね…私が付いているから防御は万全よ! 前は神に負けたけど、二度とは負けないわ! 安心してね? うふふっ体が無いのが惜しいわね、まぁ奥さんにはなってあげられないけど…傍に一緒に居てはあげられるから…大船に乗った気にしてね…それじゃ』


それだけを伝えると二柱の神は消えていき。


鎧も剣も消えた。


恐らくはアイテム収納の中に消えたのかも知れない。


その証拠に今も二人に息遣いというか気配…見守られている。


そういう感覚がある。


「それでは我はこれで去るが頑張るのだぞ」


「頑張ってね」


そのまま、俺は再び眠りに落ちていった。


◆◆◆


「しかし、あれで良かったのかの…まさかサングラスの魂を宿したとはいえ、顕現までするなんて思わなかった」


「凄いですよね。姉さままでまさか顕現するなんて…ですが大丈夫なのですか?」


「バレたら…考えただけで怖いのじゃが、もう諦めたのじゃ…どうも瞳には甘くなる」


「もう、あれ…誰も倒せないんじゃないかな? 下手したら神が顕現して戦ってどうにか、そういうレベルじゃないかな」


「コーネリア…当人が半神半人で、黒薔薇に黒牡丹、得体の知れぬ霧崎京子という化け物…我ら二人に連なる存在になった事による加護…そして神級とでもいうべき心を宿した『真魔聖剣サングラン』に『ウリュアの鎧』お前なら戦いたいと思うか?」


「そうですね…戦いたいなんて思いませんね…もう、あの世界はどんな勇者を送り込んでも無駄ですね…というか魔王が見たら腰を抜かすんじゃないですか?」


「そうじゃな…」


「創造神様が怖いんですか? もう諦めるか、逆切れするか腹を括った方が良いですよ」


「他人事みたいに…」


「他人事です」


「おのれ…巻き込んでやるから覚えておれ」


「冗談ですよね…」


「わははははっ…本気じゃ…」


此処迄やってしまったが…後悔は無い。


不思議じゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る