あとがき

「異世界転生ストーリーはこうして誕生した」いかがだったでしょうか。「そうか、異世界転生ファンタジーは未来人が伝えたものだったのか、、、そんな訳あるかーい!」という感想を抱いていただけたら、この作品は一応成功したことになると思います。


宮台真司『終わりなき日常を生きろ』に次のような一節があります。「だとすれば、私たちが問うべきなのは、なぜ特定の時代には、特定の社会イメージや世界イメージだけが生きられるのか、なぜいろいろあるなかでもそういう特定のイメージを生きることしかできないのか、ということでなければならない。」


私の中ではなぜ当時トラック転生が異様に流行ったのか謎だったのです。その疑問に答えを出したのが本作です(嘘)。


異世界転生ファンタジーの考察については、海燕『小説家になろうの風景【新装版】』という電子書籍を参考にしました。


この作品を書いた経緯ですが、2011年に遡ります。2ちゃんねるの京都アニメーション大賞スレッドに師弟二人三脚で創作指南する話を書いたよとレスしたところ、「100年後の未来からやってきた自分のファン(※美少女)がどうにか売れるようにアドバイスに来る」というネタがあるというレスがついたのです。私の作品は文才の無い美少女を売れない脚本家が指南する内容でしたから、美少女の立ち位置が正反対な訳です。


ただ、このときは特に何も思いつきませんでした。その後、鈴鹿御前について調べたのが2019年、転スラ、はめふら、本好きの下剋上、無職転生といったいわゆるなろう系のアニメを見たのが2022年です。ここに至ってようやく未来から来た自分のファンが異世界転生ファンタジーを伝授するというプロットが思い浮かんだ訳です。


劇中劇は異世界転生ファンタジーについて「このすば」くらいしかイメージが無い段階で書いたものであり、異世界転生ものの初期はこんな雰囲気かなと想像で書いたものです。興味のある人は「田村の草子」「鈴鹿の草子」「田村三代記」で検索してみてください。


そういう意味では劇中劇を異世界転生ファンタジーにする着想に時間がかかった作品です。文字数にして13000字ほどなので、そのまま小説にしても中編にしかなりません。このネタで長編を書く筆力は私にはありませんので、とりあえず脚本形式のまま投稿する形としました。


ちなみに、元々の起点となった作品はAmazonと楽天で無料販売しています。「HKSS 小説」で検索してみてください。


その小説を別の賞に投稿した際、編集さんに(全ての作品に編集さんがコメントくれる賞でした)、作品全体をサクセスストーリーに仕立てた方が良かったんじゃないかと指摘されたのです。今回、こういう形で活かすことができました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る