第18話 あんこは水戸黄門

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【前回までのあらすじ】

AI翻訳機によって話せるようになったあんこ(♂)。

自分の意思を人間に伝えられるけど、人間の言葉は分からない。

猫からの一方通行のコミュニケーションは人間界でどこまで通用するのか?

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今日のあんこは「水戸黄門モード」に設定されている。

天気が良かったので、あんこは散歩に出かけた。


あんこがしばらくブロック塀の上を歩いていると、友達のおじいちゃんに会った。


「あんこちゃん、こんにちは。」


あんこはブロック塀から飛び降りておじいちゃんに言った。


「格さん、行きますよ。」


おじいちゃんはあんこが水戸黄門モードなのを理解した。


「今日は水戸黄門かー。わしの好きな時代劇だ。

ははー、黄門様、お供します。」


おじいちゃんはあんこのお供になった。


***


あんことお供のおじいちゃんが歩いていると、小さい方のヤツの友達に会った。


「おー、あんこ!今日は何モード?」


「助さん、行きますよ。」


小さい方のヤツの友達は水戸黄門を知らない。


「何それ?知らないなー。まあいいか。ついて行ってやるよ。」


小さい方のヤツの友達はあんこのお供になった。


***


あんこ、格さん、助さんの3人が歩いていると近所のおねえさんに会った。


「あんこちゃん、こんにちは。今日はどんな冒険してるの?」


「お銀、行きますよ。」


おねえさんが不思議そうな顔をしている。

格さんは気を利かせておねえさんに説明した。


「水戸黄門、知ってるー。お銀ってお風呂シーンのよね?今日はお風呂ナシでいいわよね?」


おねえさんはあんこのお供になった。


***


あんこ、格さん、助さん、お銀の4人が歩いていると悪代官(近所の野良猫)に出くわした。


悪代官は黄門様に因縁をつけてきた。


あんこが格さんをチラッと見た。


「格さん、例のものを。」


あんこは格さんに命令した。


「・・・」


格さんには「例のもの」が分からない。


しかたなく助さんがフォローする。


「おじいちゃん、あんこがなんかしろって言ってるよ。」


格さんはやっと「例のもの」が分かった。


「おー、お決まりのあれね。ひかえおろー、このもんどころが目に入らぬかー。」


おじいちゃんはポケットに入っていた携帯電話を悪代官に見せた。

格さん的には印籠の代わりらしい。


悪代官は印籠にビビったのだろう。フンと言ってどこかに行ってしまった。


***


悪代官を懲らしめたあんこはお腹が空いたので家に向かった。


黄門様一行が家に着くと、ママが家から出てきた。


「皆の者、頭が高い!控えおろう!」


そう言うとあんこは家の中に入っていった。


ママはあんこのお供の3人を労った。そして謝った。

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