召喚勇者、魔王が怖いので寝返ります!

寧楽ほうき。

一章

プロローグ

プロローグ

「一応聞いておこう、何故ここに来た」

「…っ、そ、それは……」


 必死に頭を回転させるが、返す言葉が何ひとつとして見つからない。


「まさかとは思うが、我と闘って勝てるとでも思っているのか?貴様は我に一方的に殺されるだけだぞ」


 口角をあげ、こちらを見下す。そんな彼女の威圧感のせいか、先から身体が言うことを聞かない。

 俺は……何の為にここに来たんだ?ひとつの答えが頭に浮かぶ。

(どうして俺なんかが魔王と闘いに来てるんだ…?そうだ…。そうだ……日本人の俺が急に魔王と闘えって言われても無理に決まってるだろ‼︎)

——よし、寝返ろう。


「……っ、俺は…!俺は!魔王様と結婚を前提にお付き合いをしていただく為に、ここにやって来ました‼︎どうか、お願いいたします‼︎」


 そう言い切った俺は、勢い良く頭を下げた。

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