スフォルトゥーナ

本作は、「グループSNE」及び

「株式会社KADOKAWA」が権利を有する

『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です

(C)GroupSNE

(C)KADOKAWA

この先の文章は読んでも読まなくても

大丈夫です。

次の話からが本編となります。

 言わば第0話ですね。

読むとよりこれからのお話が楽しくなる…

 かもしれません。(笑)

 悲惨な描写、戦争系統の話が出てきます

 今回は楽しいお話ではないです。(汗)

 ご注意ください。

 以上が大丈夫な方はお楽しみください。

――――――――――――――――――――――

 

 怒号、悲鳴、嗚咽、が飛び交う戦地

???「はぁっはぁっはぁっ!」

走って走って走りきったされど足を止めれば

撃ち抜かれ、斬られ、晒し者にされる。

遠くでは大きな爆発、轟音、

人が砕かれる生々しい音

???(急げ!早く!もっと早く!!)

こんなことになるならもっと父様や兄様との

鍛錬に励むべきだった

???(考えろ!どうすればいいか?!)

   (考え続けろ!!)

もっとヒイラギ兄様と

魔法の授業を受ければ良かった。

???(父様!母様!兄様方!!)

遠くの方からは蛮族の軍隊がやって来る。

??? 「?!」

(そんな!蛮族は父様が止めていたはず)

蛮族の方が足も早く簡単にこちらに気づき

追いかけてくる。

みるみるうち全身から血の気がさっと引く。

間に合わないっ。

 その時白馬の天馬が現れ土煙を

起こし敵を撹乱した。

そのまま誰かに森へと担ぎ込まれる。

エリアーナ「良かったアオイ無事だったのね」

アオイ「母様!ご無事でっ…」

   「ご無事で良かった!」

安心して涙が溢れる。

母様は俺の頬を優しく撫でる。

エリアーナ「…セバスチャン後お願いね?」

アオイ「?…っ!?何するんだ!セバス!」

   「離せ!」

セバス母様の愛馬が俺を乗せて飛び立とうとする。

アオイ「母様も!早くここから」

   「逃げましょう!?」

「この戦線はダメです持ちませんだから早く!」

エリアーナ「…アオイ私の可愛い可愛い子」

 そっと両手でアオイの頬を

優しく包むエリアーナ

エリアーナ「生きてどんなに醜くても」

     「罪を背負ってもいい」

 「お母さんは生きるためなら…悲しいけど」

 「許しますだからねアオイ…生きて。」

アオイ「?何をっ!?」

セバスは飛び立つ母を置いて。

アオイ「セバス!降ろせ!母様が!母様!」

『母様ぁぁぁあぁぁっ!!!』

エリアーナ「元気でね私の愛しい子」

     「…我が…主神よ…あの子…を」

     「よろしく…ねぇ。」

腹から溢れる血を隠しながら最後の言葉を送る。

聖女と歌われた勇ましき騎兵騎士は

最後まで勇敢に凛々しく戦い抜いた。

飛び立ったセバスだったが敵軍から綺麗な翼を

撃ち抜かれる。だがセバスは最後のその時まで

飛び続けた。主君の名を守るため。

黒髪に赤眼の甲冑を着た青年と

茶髪に緑眼の青年が駆け寄る。

シラヌイ「アオイ!父様と母様は!?」

アオイ「シラヌイ兄様っ…ヒイラギ兄様っ…」

その顔を見て兄二人は理解したのだろう。

ヒイラギ「っそっか」

 そっと抱きしめるヒイラギ

シラヌイ「…っ母上までもがっくっ!」

    「己がもっと強ければ!もどかしい…」

自分の不甲斐なさを叱責するシラヌイ

シラヌイ「だが第2戦線が崩壊したのならば」

「ここに攻め込むのも時間の問題だな」

ヒイラギ「…いーいアオイお兄ちゃん達から」

「アオイにお願いがあるんだ聞いてくれる?」

アオイ「っ!嫌です!俺も…」

   「俺も一緒にこちらに」

ヒイラギ「だーめお前は残った村の皆を連れて」

    「隣国まで行くのいいね?」

シラヌイ「…アオイお前では戦力にすらならん」

    「とっととお荷物を持って行くんだな」

 シラヌイは振り向きもせずに語りかける。

アオイ「っ…兄様それでも」

シラヌイ「まだわからないのか?」

    「戦の邪魔だと言っているんだ」

 「俺の弟はそんなに我が侭で傲慢だったか?」

アオイ「……兄様方っ…!」

   「すぐに隣国に援軍要請をし」

   「援軍を連れて加勢に参ります。」

シラヌイ「ふっ成すべきことが」

    「わかっているじゃないか」

ヒイラギ「またねアオちゃん」

    「見事俺達最強コンビが」

   「あんなわるーい奴」

   「全部倒しちゃうからね。」

アオイ「はいっ兄様方ご武運を…っ!」

馬に乗り民を先導する弟を視界から

居なくなるまで見つめる。

ヒイラギ「あーあ行っちゃったね〜」

シラヌイ「お前は行かなくて良かったのか?」

ヒイラギ「え?まっさか何いってんの兄さん」

   「俺達二人で最強コンビ」

「アオちゃんの自慢のお兄様でしょ?」

「ま、精々時間稼ぎぐらいは出来ますし?」

シラヌイ「…死に戦だぞ」

ヒイラギ「言わなくってもわかってるよけどさ」

  「大切な弟のためですし父さんと母さん仇」

  「撃ちたいしね。」

シラヌイ「…ほんと出来た弟達だな」

    「お前は生意気だが。」

ヒイラギ「あー言うなぁ〜堅ぶつ兄さん。」

シラヌイ「まっ死ぬときぐらいは…」

    「派手に行くかっ。」

ヒイラギ「さんせーいなら死ぬ気で」

    「殺りますかね!」

…………………………………………………………

村人「領主様が負けたなんて…」

女性「私達はどうなるの?!」

老人「終わりじゃぁ〜終わりじゃ…」

子供「ママー!どこー?ママー!」

荒くれ「これもそれも領主が」

   「負けてだらしないせいだ」

女性「そうよ!あんな蛮族程度に」

  「負けるだなんて!」

村人「騎士団は何をしていたんだ?!」

アオイ「静まれ!お前達は」

   「まだ分からないのか?!」

   「兄様方が何故残ったのか!」

   「母様や父様が勝てない相手に」

   「勝てるわけがないだろう!?」

  「兄様方は俺達を逃がすために時間稼ぎを」

「してくれているんだ!無駄口叩いている暇が」

  「あるなら一秒でも早く逃げろ!!」

シン…と静まり返り人々は逃げる。

それはたった一人の領主の息子の

叫びのおかげか。

それとも…兄達が居たところからキノコ雲が

上がったからか。 

歯を噛みしめる血が出るが知った事ではない。

それほどに不甲斐なくて歯がゆくて悔しくて

辛くて切なくて…苦しくて胸が痛いっ。

隣国についたが隣国は援軍を寄越そうとは

しなかった。勝てない戦には出ないそうだ。

こうして俺の国も滅び富も、家族も、全て

失ったもう…何も無い。

数週間後ようやく蛮族軍は撤退

その間国の後処理や大量発生した魔物や

盗賊退治に追われ気づけば3年経っていた…。

だがこれでようやく国をまた再建できる

そのためにまずはやらねばいけないことがある。

戦地に赴き民たちの

死体や遺品の回収をすることだ。

アオイ「動けるものは俺についてこい!」

   「亡き戦友を取り戻す!」

 元村人の兵団「おおーー!!」

だが来てみたらどうだ?

アオイ「…待て全軍止まれぇ!!」

言うが遅いか止まれなかった者達は

土に埋められた

地雷の餌食となる。

後方からは銃弾が迫ってくる。

全軍混乱状態となり指揮は通らず

…おそらく全滅したのだろう。

兵士に庇われ命からがらなんとか逃げ延びる。

もう意識も朦朧としている。

…遠く骸の山の上に光るものが合った

アオイ「あっあぁにいっ…さ、まっ!?」

   「あぁぁぁぁ!」

ヒイラギ兄様の魔晶石のブローチと

シラヌイ兄様の刀があった。

シラヌイ兄様の刀はボロボロに刃こぼれしており

血がべっとり刃に染み付いていた。

どれほどの死線だったか…。

これが兄達の死んだ決定的な証拠。

だがここで叫ぶべきではなかった冷静になれば…

アオイ「うっ!?」

 こんなふうに不意をつかれることも

 無かったのにな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る