第2話「壁ドンをやってみよう!」

「自分を背後から思いっきり蹴り飛ばすのは誰でありますか!!」


「俺様だ。 文句あるか?」


怒るUFO美男の前に偉そうに不機嫌な顔で腕組をして立つ美少年は超絶に美しかった。


「……う、美しい……はっ?!  自分は何をイッているのでありますか?!

 貴様!! 我々、ブラックラヴァーズの邪魔をするのでありますか!!

 邪魔をするなら、容赦しないであります!!」


気を取り直して構えるUFO美男。


「……変態の分際で俺様のデートを邪魔するとはいい度胸だなァ?」


不機嫌そうな美少年の傍に黒髪の美少女が息を切らせながら駆け寄ってくる。


「壁尾くん! どうしたの? いきなり走って行っちゃうんだもの……」


「……すまん、 大和。 天下の往来で変態が騒いでいたから、イラッとしてな」


『壁尾 鈍太郎』は不機嫌そうに答えた。


「変態って……うわっ?! 薔薇人じゃない!!」


『大和 桜空 』はUFO美男に身構える。


「小娘ッ!! 何故、私がブラックラヴァーズの選ばれた戦士『薔薇人(ばらびと)』だと言う事を知っているのでありますか?!

……やはり貴様達は邪魔物でありますか!!

とりあえず!小娘は美少年になるであります!」UFO美男はウホッ!良い男銃を桜空に向けて光線を放つ!


ピーッ!!


バシッ!


放たれた光線は桜空に到達する前に立ち塞がった鈍太郎の手に防がれた!


「ヒイッ! 何故効かないでありますか?!」


「俺様が美しいからだろうな!」


慌てるUFO美男に胸を張って答える鈍太郎。


「……貴様……大和を美少年にするつもりか?」


怒る鈍太郎はユラユラとUFO美男に向かって歩く。


「ヒイイッ! 出てくるであります! スタッフ~ッ!! ……いや、助けるであります! 美男兵!」


UFO美男の情けない叫びに答える様にスモークの立ち込める暗闇の中から、戦闘員の軍団が足並みを揃えてやって来る!

しかもその戦闘員達は美形だが、皆同じ顔だった。

何ソレ、コワイ!

しかし、鈍太郎はスイスイと群がる美男兵をすり抜けて壁際までUFO美男を追い詰め、片手で壁に手を付く。

ドンッ!!


「見境無く人々を美男に無理矢理変えた挙げ句、俺様のデートを邪魔して……しかも、大和を美少年にしようとした罪は万死に値する!」


鈍太郎の壁に手を付いた腕に嵌めたブレスレット、『壁ドンチェンジャー』が光を放つ!

光が収まった時には、鈍太郎は深紅のバトルスーツを纏っていた!


『……ユ、ユーフォッ! 貴殿だけで自分に挑むつもりでありますか?! 此方にはたくさんの美男兵が居るでありますよ!』


「……どうやら、彼奴等も来たようだ……」


「……え?」


鈍太郎の視線の先には中性的な美少年が両手のモデルガンで美男兵相手にお美事! なガンカタを魅せていた。 何と言うワザマエ!


「……矢追君、モデルガンは人に向けて撃っちゃ駄目なんだよ?」


桜空の指摘に項垂れ、反省猿の様に壁に手を付く『矢追 美樹』。

美樹の腕の青い壁ドンチェンジャーが光を放ち美樹は青いバトルスーツに身を包む。


「ヘエェェェェイ! 貴様等! 女の子を男にして何をするだあぁぁぁっ!

この中に俺の彼女になってくれる女性が居たらどうするだあぁぁぁっ?!」


メメタァ!

大柄でワイルドな美少年が哭きながら片手で美男兵の頭を持ち上げ壁に打ち付ける。

大柄でワイルドな美少年 『釜堀 聡』の腕の壁ドンチェンジャーが光を放ち聡も黄色いバトルスーツ姿になる。


「……キマシタワー!」


この大惨事を眺めながら隅っこでメモをシコシコ録っていた病みメイクのゴスロリ少女 『深井 沼代』は徐に印籠型の『貴腐人チェンジャー』で夜の闇に包まれて黒いゴスロリ型のバトルスーツを身に纏う。


「……やっぱり、やらなきゃ駄目?」


「駄目」


消極的な桜空に即答する沼代。


渋々、桜空は手にした印籠型の『ヒロインチェンジャー』で桃色のバトルスーツを身に纏う。


ドカーン!

赤のセメントが爆発する!


『ギャーッ!』


爆発で吹っ飛ぶ美男兵。

鈍太郎が名乗りのポーズを取る。


「俺様レッド!」


ドカーン!

青のセメントが爆発する!


『ノーッ!』


爆発で吹っ飛ぶ美男兵。

美樹が名乗りのポーズを取る。


「俺様ブルー!」


ドカーン!

黄のセメントが爆発する!


『アヒイッ!』


爆発で吹っ飛ぶ美男兵。

聡が名乗りのポーズを取る。


「俺様イエロー!」


ドカーン!

黒のセメントが爆発する!


『らめぇっ!』


爆発で吹っ飛ぶ美男兵。

沼代が名乗りのポーズを取る。


「沼に舞う蝶! 貴腐人ブラック!(ブラーック!) 安らかに沈んでいただきます!」


ドカーン!

桃色のセメントが爆発する!


『また来週~! お手紙ちょ~だ~い~!』


爆発で吹っ飛ぶ美男兵。

桜空が消極的に名乗りのポーズ嫌々を取る。


「……ヒロインピンク……皆はコレ、恥ずかしくないの? 」


「「「「「俺様1番! 電話は2番! 戦え!俺様戦隊 カベドンジャー!」」」」」


ドッカーン!!

5人が集合ポーズを決めると、大爆発が起こる!


『……もう、駄目だぁ~っ!!』


爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶ美男兵達。

死屍累々の有り様に泣きながら訴えるUFO美男。


「……貴様等! 何をするでありますか! 今までの爆発で美男兵が全滅したであります!!」


……名乗り口上の爆発に巻き込まれて、美男兵達は全滅していた……。

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