「学校の怖い話」シリーズ

「学校のこわい話」第2巻(初版2003年)「第一章 学校の七ふしぎ」より一部抜粋


・ある学校の九ふしぎ

 ある小学校では「七ふしぎ」ではなく「九ふしぎ」が生徒のあいだでうわさされているといいます。その内容をしょうかいしましょう。


その一 「おどり場の鏡」

 四年生から六年生の生徒が使う、階段のおどり場には大きな鏡があります。その鏡には校長先生のゆうれいが出るそうです。その校長先生は亡くなってしまった何代か前の先生で、先生たちの言うことを聞かない生徒をかがみの中につれて行ってしまうのだそうです。


その二 「人体模型のダンス」

 三階の理科室にある人体模型が夜な夜なダンスをおどるそうです。昔、宿直の先生が夜ふけに見回りをしていたときに、かぎのかかった理科室から音がするので、ろうかの窓からそっと中をのぞくと、楽しそうにおどる人体模型を見たそうです。


その三 「ましろさん」

 遅くまで学校に残っていると、ましろさんというおそろしいゆうれいが出るそうです。ましろさんを見た生徒はいませんが、それは見た生徒が全員死んでしまうからだそうです。


その四 「プールの白い手」

 昔、上級生用の深いプールでおぼれて死んでしまった女生徒がゆうれいになって、泳いでいる生徒の足を白い手でひっぱるそうです。夏休みに勝手にプールに入ってあそんでいた生徒が白い手に足をつかまれておぼれて死んでしまったそうです。


その五 「ひとりでに鳴るピアノ」

 体育館のぶたい裏にある合唱用のピアノがときどきひとりでに鳴るそうです。卒業式で演奏する校歌を、どうしてもうまくひくことができず、なやんだ末に自殺した生徒のゆうれいが死んでからも練習をしているそうです。


その六 「女の絵」

 美術準備室には誰が描いたかわからない女の絵がしまわれています。その絵を一度見てしまうと夢にその女が出てくるそうです。だから、美術準備室は開かずの部屋になっています。


その七 「渡りろうかの生首」

 夜になると、渡りろうかを生首がとんでいるそうです。学校にプリントを忘れてしまった生徒が夜遅くに渡りろうかを歩いていると、笑った顔の生首がすごい速さで生徒に向かって飛んできたそうです。


その八 「下校のチャイム」

 夕方の五時になると放送室から自動で鳴る下校のチャイムが、ときどき勝手に三分おくれるのだそうです。それは昔自殺をした生徒が死んだ時間なのだそうです。その時間のチャイムを聞いてしまうと、何だか死にたくなってしまうのだそうです。


その九 「あきおくん」

 あきおくんという男の子のゆうれいが出るそうです。多目的室の暗幕のかげや、トイレの一番おくの個室など、うす暗いところから友達になろうとさそってくるそうです。あきおくんと友達になると食べられてしまうので、断らないといけません。


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「学校のこわい話」第6巻(初版2007年)「第三章 学校のまわりのこわい話」より一部抜粋


・ジャンプ女

 小学校四年生のTくんの話です。

 Tくんはある晩、夕ご飯を食べた後、二階にある自分の部屋で宿題のプリントをしていました。

 ふと窓の外を見ると、おそろしい顔をした女が窓の外に見えかくれしていました。

 おどろくことに、女は二階の高さまでジャンプして、窓からTくんのことをのぞいていたのです。

 ワッと声をあげてTくんが階段をかけおりると、階段の下にお母さんが立っていました。

 今あったことを話そうとすると、お母さんはTくんの顔をじっと見てきました。

 それは、お母さんの服を着たあの女でした。

 それっきり、Tくんの一家は行方不明になってしまったそうです。


・あきとくんの電話ボックス

 Rちゃんの通う小学校の近くには、誰にも使われていない古い電話ボックスがあります。

 夕方五時、その電話ボックスに入って受話器を耳にあてると、あきとくんという男の子につながるのだそうです。あきとくんにおねがいごとを言うとかなえてくれるといううわさでした。

 Rちゃんは同じクラスの気になっている男の子ともっと仲良くなりたいと思い、ある日の夕方、その電話ボックスで受話器を取りました。

 しばらく待ってみてもなにも聞こえず、がっかりしましたが、とりあえずおねがいごとを言いました。

 電話ボックスの外に出ると、冬なのに半そで半ズボンすがたの男の子が立っていました。

 Rちゃんが「あきとくん?」と聞くと、その男の子はとても大きな口を開けました。

 それっきり、Rちゃんは行方不明になってしまったそうです。



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