底辺配信者の俺が美少女Vtuberとして転生したら、推しのアイドルグループに入ることになった話
あおき りゅうま
プロローグ ぶっとばすぞぉ~(気さくな挨拶)
「ぶっとばすぞぉ~☆(気さくな挨拶) 絶賛反抗期中でポテトだけを頼んでマッ〇に一泊した自称プリンセス!
エメラルド色の髪のシュッとしたスレンダーなアニメキャラが画面上で左右に動く。
それはパソコンの前で動いている俺の動きと連動した動きだった。
「今日は前回の続き、ホラーゲーム「お壱 ~八咫烏ノ君~」を進めていきたいと思います。前回何処まで行ったんだっけ? ロリを追いかけて草むらの中に入ったらロリを押し倒しちゃったところまででセーブしたんだっけ?」
Vtuber。
カメラでとらえた人間の動きをそのまま画面のキャラクターに投影させるモーションキャプチャ技術。それによってただの絵であるアニメのキャラクターに生命が吹き込まれる。
大型動画配信サイトRoutube。そこに動画を上げて広告収入で稼ぐ職業の人間をRoutuberと呼び、その中でも、バーチャルキャラクターを使って動画を上げる人間をVtuberと呼ぶ。
俺はそのVtuberだ。
緑髪の刹那院ライアちゃんが右上を見て考え込んでいるモーションをしているのはカメラに映る俺が全く同じモーションをしているからだ。
<言い方よwwww
<完全に犯罪者wwww
<通報しました。
ライアが収まっている枠の横にはコメント欄があり、爆速で次から次へと流れていく。
「いやそれは違うじゃん、
「下っ端」とはひどい言い草だが。そう呼ばれてコメントは嬉しそうに沸き立っている。
<お嬢にやましい気持ちがあるからアウト。
<お嬢は女の子と見るとロリじゃなくても襲う
<
刹那院ライアは反抗期で家を飛び出している自称王女様で泊めてもらっている友達の影響でヤンキーに染まってしまったという設定だ。
だからリスナーのことを「下っ端」。リスナーはライアのことを「お嬢」と呼ぶ。
まぁ———設定が何となく別のものに変質してしまって、ヤンキーというよりヤクザになってしまったわけだが。
話をろくに聞いているのか聞いていないのか、若干外れたコメントが流れるがそれも面白い。
「うっせ~、ライアは別にそんな犯罪者じゃねーし。可愛い女の子は誰だって好きだろ……」
まずいな、この流れ。
女の子好きと思われるのは非常にまずい。
俺のイメージが悪くなる。
「これクリアしたら、もっと男らしいゲームやんないとなぁ……よし、じゃあ早速始めていこうかな……」
<そんなゲームやるのなんて誰も期待してないよ。
<お嬢は女の子襲ってこそ価値があるwww
<百合の取れ高女王www
「いややめろやめろ。不穏なことばかり描くな下っ端ども。他の‶メンバー〟にそれ聞かれたら変な目で見られるだろ。そんなこと言ってないで、ほら、ゲーム進めるよ!」
と、セーブデータを読み込むと、真っ暗な湖のほとりに女の子が立っているゲーム画面が映し出される。
「あれ? ここどこだ? 昨日のロリ襲撃現場からだいぶ遠い場所だな……覚えてないけど結構進めたか?」
<だから、お嬢の言い方が悪いwww
<ロリが成仏したから、今はそのお母さんを成仏させる話でしょ?
<湖の底に回復アイテムあるから拾ったほうがいいよ。
あぁ、そういえばそうだった。
地縛霊の少女の幽霊の願いを叶えてやって成仏させた後、そのお母さんの幽霊を探すために湖で遺品を探していたんだった。
コメントには本当に助けられるなぁ。
「そっか、アイテムあるのか……とっとこ」
と、湖を覗き込んむとそこには———。
———血まみれの女の顔が映し出されていた。
「ひぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼」
大音量で響く俺の声はマイクを通してこの動画を見ている世界中の「下っ端」のスピーカーからあふれ出してる。
< WWWWWWWWWWW
<草
<草草草
<お嬢の悲鳴たすかる。
<絶対引っ掛かると思ったwww
ゲームのキャラは湖から出た血まみれの女の幽霊に湖の中に引きずり込まれ、
GAME OVER
死んでしまった。
「ふざけんじゃねぇ………! 騙しやがって〇ザップがよォ‼」
攻略情報と偽って誤情報を書き込んで配信者にミスをさせる。度合いにもよるが———これもこれで動画配信を盛り上げる一ファクターだ。
そうやって騙されるリアクションが、俺は好評らしい。
「マジでふざけんなよ……こちとらプリンセスだぞ!」
パソコンの前で罵倒を続けるリアルの俺。
その顔は————画面に映っている刹那院ライアと同じ顔をしていた。
いや、正確に言うとほぼ同じ顔。
俺の〝今の〟顔を、アニメ調にデフォルメしたらこんな顔になるだろうなというそういうビジュアルを刹那院ライアはしている。
「あぁ~……もう……でもあれでしょ? 今のがお母さんでしょ?」
と、笑いながらゲームを進めていく〝俺〟。
そう〝俺〟。
俺は、どっからどう見ても完璧に可愛い美少女———だが、男だ。
こうなってしまったのは深い深いわけがある。
話は一ヶ月ほど前に巻き戻る。
その頃、俺は高校卒業したての何処にでもいる底辺動画配信者だった。
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