第142話 コナーの街に来た男
長かった…
情報ギルドへは、
昼過ぎに来たのに…もう夕方だ。
そして、解った事は、
結局、帝国には70年程前の〈セントラル王国〉との戦争が〈引き分け〉になった事が許せない連中がいるらしく、
今回はセントラル王国の国王陛下にスタンピードをぶつけて殺したあとで、ワイズ王国を〈非人道的呪詛兵器〉を使った事を理由に攻め滅ぼして、王国を丸ごと傘下に入れる計画が有ったらしい。
…何十年も前の戦で、皇帝陛下が寿命で死んで、セントラルの国王陛下が病で倒れてゴタゴタしている間に〈戦争どころじゃない!〉と成って引き分けたのが許せないって…
他にやること有るだろう。
プライドの高い〈貴族〉のせいで、また巻き込まれるのかな…?
帝国で無敗を誇った将軍の唯一の引き分けが王国との戦争で、
無念のまま死んだ将軍の子孫が代々後を継ぎ、無念を晴らす為に、
魔法技術研究所に出資して、色々悪さを企んでセントラル王国を攻め滅ぼす計画を実行するための秘密道具を作らせていたらしい。
〈はた迷惑な〉
情報を擦り合わせた結果、
全部の問題は1人の男に繋がった…
マルゲスを焚き付けて帝国にちょっかいをかけさせたのも、
弱ったセントラルに進軍しろと裏で暗躍していたのも、
大小各種スタンピードの元凶も…
全て帝国の〈ロッカ侯爵〉という男に行き着いた。
〈セントラル王国を目の敵にしているか知らないが、やり口が粘っこいよ…〉
などと、ブツブツ言いながらスキルショップに来たのだが、
…閉まっている…
そう、この世界のお店は夕方にはすぐ閉まる。
夜に空いてるのは、飯屋、酒場、宿屋とアダルティーなお店ぐらいだ。
俺は…黙って…〈宿屋〉に泊まった。
情報ギルドで、マークしている人間は、どこで何をしたか職員が調べている。
例の将軍の子孫の〈ロッカ侯爵〉がどこで誰と合ったとか、アダルティーなお店に月に何回通ったとか報告書が有った…
俺もそんな報告を書かれたくない。
〈アダルティーなお店が気にならない!〉
と言ったら嘘に成りますが、あんな報告書を作られるくらいなら平気で我慢できる…
〈旨い物食べて寝よう。〉
明日〈エドりん〉のお店でスキルを買ってから、〈コナーの街〉を目指して東に向かう予定にしている。
昼の買い食い商品をアイテムボックスから出して食べて、
眠りについた。
翌朝に〈山田商店〉で、米と種籾、大豆に、調味料を買い込み、
次にスキルショップに行き、スキルスクロールを買う。
職員の〈オネェさん〉は、失恋から立ち直り、明るく接客してくれて、
俺の為の魔法,
光魔法の〈ホーリーレイ〉レベル2
聖属性の光線を射ち出す。
雷魔法の〈サンダーランス〉レベル2.5
雷槍が対象に刺さり感電させる。
サンの為のスキル
〈スタミナ〉・〈剛力〉・〈身体強化〉
でフィジカルを取得
〈集中〉・〈ターゲット〉でウインドブレスの威力を上げて、
〈加速〉・〈高速移動〉・〈回避〉
〈ウォーターカッター〉で回避性能と苦手な土属性の魔物対策の水魔法だ。
拠点の魔族兄弟に
〈サーモ〉×2
〈集中〉・〈ターゲット〉を2つずつ
アドラに〈魔法使い〉スキル
メレクに〈魔導師〉スキル
俺の大魔法とサンの追加スキル、
それと、
お留守番魔族兄弟の魔力は人間の三倍程度らしいから、使わないのはもったいないので魔法も合わせて購入した。
大金貨42枚の買い物だったが、まだ予算がある…
有り難う〈ベンさん〉
街の外に出て、〈サン〉を召喚して二人でスキルを獲得してから、
帝都の東に位置する〈コナーの街〉を目指した。
コナーの街に向かう途中の山岳地帯で、サンが試し撃ちついでに狩りをする事にしたのだが、
〈サン〉は地竜を〈ターゲット・集中・ウィンドブレス〉と〈ターゲット・集中・ウォーターカッター〉で、眉間の同じ場所を連続でヒットさせ沈めてしまった。
一度目で鱗を剥ぎ、
二発目、サンの口元に現れた魔方陣から放たれた高圧の水の刃は、〈集中〉により更に密度を増して、地竜の眉間を貫き、致命傷を負わせた。
〈えっへん!〉
と満足そうな〈サン〉を見て、
〈買って良かった。〉と俺まで嬉しく成った。
山にいた主をサンが倒してしまい、俺の試し撃ちはまた次回に持ち越しと成った…
寄り道もしながらサンで飛ぶこと10日、〈加速〉の効果で半月程度かかる予定が、数日短縮でき、
帝国の東部地域の街〈コナー〉に到着した。
昔の流れ人が開いた食と経済の都、
帝都とは違った意味で活気にあふれる〈東の都〉というべき東部地域の中心地は…
日本の〈西の都市〉の様な雰囲気の街だった。
デカイ塔に『みんなのマジックショップ パトラ商会』と書かれ、
塔を中心に放射線にのびた大通りには、人目を引くための立体看板や、
たこ焼き風の丸い食べ物に
串カツ屋に『二度づけ禁止』の文字…
昔にこの街を開いた〈流れ人〉は間違いなく〈関西〉の方だったのだろう。
帝都の東部訛りの〈売り子〉の女性が、たこ焼き風の食べ物を作りながら、
「兄ちゃん、
と俺を呼んでいる。
「コナーの街、特性のソースをたっぷり使こーた〈
と続けて売り込んで来るので、1つ買って食べてみる。
〈旨い、微かに海を感じる風味が有るぞ!〉
驚く俺に、売り子の女性は、
「どや?ごっつい旨いやろ。
近くの街でも似たようなモン売っとるけど、出汁の風味の効いた〈ほんまモン〉はコナーの街のモンだけや!
ソース料理は〈コナーモン〉が一番やからね。」
…だから街の名前が〈
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