第91話 嫌な事を忘れる様に頑張る男
嫌な事は忘れ、工事に全力で打ち込む事にした。
工事現場のある開拓村の朝は早い
俺とサラとノーラさんの三人で作った小さな村で、
家が三軒だけの工事作業員の為の村である。
土木魔法の練習に一人一棟作った。
俗にいう〈豆腐ハウス〉だ。
俺は、多分先輩〈流れ人〉が設計したであろう外部魔力タンク、
〈小学生が使うタイプのアレ〉で、ご丁寧にまるで縦笛のようなアンテナがある〈魔石ランドセル〉を背負い、
一級土木魔法を使い、
厚さ30センチに平たく形状を変化させ、〈硬化付与〉をしたアースウォールの道を、街の入り口まで真っ直ぐ敷いたそばに同じくアースウォールで敷地を作り、
そこに、誰が上手に作れるかコンテストをした家だ。
二級土木魔法を使い
アイテムボックスから出した岩を
〈石レンガ生成〉でレンガに変えて
家の大きさに敷き詰めて〈接着〉を使えば一枚の石材になる
その上に石レンガで膝辺りまで壁を積み上げて接着で固める。
木材と石材は〈接着〉出来ないので、
石レンガで柱を差し込む溝を作り接着で固めて
アイテムボックスから出した木材を〈ウッドブロック〉と〈形状変化〉で柱のサイズにして溝に差し込む。
流石に柱を差し込むのは重くて大変なので、三人で各自の家をめぐり、柱を立てるまでは協力した。
柱が出来たら、ウッドブロックを板状にして、柱に壁として〈接着〉して行く
そして三人は気がつく、
屋根ってどうすんの?
と、なったが仮の宿だし、まぁ良いか!
となりウッドブロックを板状に伸ばした材料を屋根部分に並べて〈接着〉を掛けた。
少し出入り口の上は、軒(のき)を出して精一杯の抵抗を見せただけの四角い〈豆腐ハウス〉が出来上がった。
やはりというか、コンテストはドローと成った…
三人とも豆腐だから仕方ない。
ベッドが何台かおける広さの家が3つと
三人力を合わせて作った、
ピットホールで穴を開け上に石レンガとウッドブロックで作った土台と便器を乗せて作った。
〈豆腐トイレ〉
が有るだけの村だ。
起きて、三人で朝飯を済ませて、
杭とロープで街の輪郭を決めて行く。
街が育っても良い様に、東西南北に余裕を持たせる為に平原の中心部に起点を置くかたちで、
まず入り口から北へ真っ直ぐ向かい、大通りの幅に杭を〈形状変化〉スキルで小型にした〈ピットホール〉の穴を開けて差し込み、杭にロープを街の北側出入りを目指して張っていく。
そしてロープの仕切りの中を〈ネズ〉の指示のもと、〈山ネズミ組〉が草食いを始める。
東西の大通り予定地もロープが張れた頃に大工の〈受験組〉が豆腐ハウスに来てくれた。
全部で六人の木工職人や大工と、リベンジマッチのガルドさんの計七名が試験を受けたのだが、
誇らしげにペータさんを含む三名が、〈魔石ランドセル〉を背負っていた。
一級土木魔法師に三名も合格したようだ。
残りの大工さん三名が、
「すまねぇ、ご領主様。
緊張しちまって、二級土木魔法師止まりだった。」
と頭を下げるが、
「十分だよ、これから頼りにしているよ親方の皆さん。」
と、言ったのだけど、
約1名、気まずそうな騎士のオッサンがいる。
「…ご主人様、申し訳ない」
と頭を下げるが、
「ガルドさんは御者がメインで、ついでの受験だから、そんなに気にしないで、
親方達に追加で家を作って貰ったら、
サクラさんとアンさんと猟師のヤングさんとマーズさんで〈魔物討伐チーム〉を組んで、工事現場周辺の魔物の駆除をしてください。
頑張ってくれないとネズ達が減っちゃうからよろしくね。」
と伝えると
「誠心誠意、全力で頑張ります!
それと、…お土産と云いますか、何というか、これを購入して参りました。」
と2つの鉄の玉を渡してきた。
?なんだコレ?
と玉を手に持ち、四方八方から見てみるが、〈全く解らない〉
困っていると。
「マジックショップの店長が、大口顧客のご主人様の近くにいた私を覚えておりまして、
テイマースキルを持つご主人様とサラ様に役立ちそうなマジックアイテムを店長と相談して購入しました。
〈人造ゴーレムコア〉です。」
えっ、なにそれ?
「ダンジョンで見つかるゴーレムコアは、鉄でも水晶でも用意したボディーを使用し大きさもある程度自由に設定出来るのに対して、
〈人造ゴーレムコア〉は魔力を込めて土の上に置けば、全長三メートルの〈ゴーレム〉を周りの土を吸収して生成します。
テイマーであればかなり細やかな指示がだせて、指示の通りに活動し、魔力が切れるか、作成者の指示により、〈土〉と〈人造ゴーレムコア〉に戻るマジックアイテムです。」
と説明してくれた。
何ですと!
「ガルドさん、最高だよ!
工事にも使えるし、大量の土を集めるのにも使える!
いま、一番欲しいタイプのマジックアイテムだよ!」
と伝えるとガルドさんはホッとしていた。
その日の内に親方達は豆腐ハウスの周りに置かれた材料を使い、
同じ材料で建てたとは思えない立派な家を作ってしまった。
もう、建築は止めて、親方達に任せよう。
壁や、水路の土木担当に、俺は…なる!
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