第67話 結婚します
———事故の翌日。私は一人一人に心配かけた事のお詫びをしようと思って一番初めに陽葵に電話をしたら逆に謝られてしまった。
『丹菜、御免なさい。一人暮らしのこと皆に話しちゃった』
「それなら気にしないで下さい。それを含めて全部話すつもりでいたんです。ただ、正吾君との事は内緒にして頂ければ大丈夫です」
『ごめん……それも話しちゃった』
「えー!」
『話の流れでね「一人暮らしは危険だろ」とか「このまま家に戻っても一人じゃ辛いんじゃ無いのか」って言われて無責任に「大丈夫」とも言えなかったからさ……』
「そうですか……なら仕方ないですよ。そこまで話が行ったのであれば、私が話してても同じこと皆に言われてたでしょうから」
『そう言ってくれると助かるよ』
「そんな落ち込む陽葵にとっておきの情報をあげますね」
『何々?』
「私と正吾君なんですけど……私の叔父さん夫婦と正吾君のご両親から、結婚の許可貰っちゃいました♡」
『———はい? 話の順番飛んでるんだけど……プロポーズされたとかじゃ無くて? え? 許可?』
「はい。まず、正吾君のご両親、春休み突然来たじゃないですか? 実は喫茶店には向かってる途中で『正吾貰ってやって』てお父様からお願いされました」
『え? あの時既にそこまで話が言ってたの?』
「はい。で、叔父さん夫婦は、GWに正吾君を叔父さんに会わせたんです」
『なんかまた話が急だね』
「そしたら叔父さん、正吾君の顔を見るなり『この男と今すぐ結婚しなさい』って言ったんです」
『ブ———! ……ちょっと変んな事言わないでよ。お茶思いっきり吹き出したじゃ無い!』
「御免なさい。でも本当の話なんで」
『でもまた何でそんな「結婚しなさい」だなんて』
「実は以前———
———というわけです」
『へぇー、なんか凄い縁だね。もう「恋人」じゃなくて「婚約者」とか「許嫁」ってレベルだね』
「私もそう思います。でも、陽葵もそんな感じじゃ無いんですか? 家も行き来して出入りも自由ですよね?」
『まぁ……誰も意識してないけど、改めて言われるとそんな感じだね。そっか、私と大地って婚約者なんだね。いいこと聞いちゃった♪』
灯台下暗し。自分の事って気づかないもんだね。
・
・
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その日の晩、正吾君は私を後ろから抱っこしてギュッとして、優しい口調で「何陽葵に言ってんだ?」って耳元で囁いてきた。本人は説教? 怒ってるようなんだけど……なんか凄く甘えたくなるような口調なんだよね。幼い子供に言い聞かせるような? 正吾君って……怒り下手? 私達に子供が出来たら……叱るのは私の役目になりそうだね。
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