第65話 フラッシュバック!
衣換えした6月のある日の土曜日。朝、正吾君の部屋で目が覚めた。
「チュッ……おはよ♡」
「おはよ」
金曜の夜は正吾君と一緒に寝ている。勿論、二人は今全裸だ。
「―――私、先シャワー浴びますね」
「いいよ……俺、もっかい寝る……」
季節は夏だ。朝起きれば結構汗を掻いている。なのでいつもシャワーを浴びるのだが、二人でシャワーを浴びることは絶対しない事にしている。何故かって? ぶっちゃけやっちゃうからだ。お風呂場だけで終われば良いが、その後ベッドでもやっちゃうのだ。
お気付きだと思うが、彼より私の方が節操がない。だって気持ちいいんだもん♡ 朝やり始まると、午前中はやり通しちゃう♡ 彼も結構好きみたいだから始まってしまえば、文句も言わず、私を気持ち良くしようと優しく丁寧に……たまに激しく愛撫してくれる。私は彼の中で何度も達する。毎回二桁はイッてるのかな? 四回目くらいから気持ちよすぎて数えられないんだよね……なのでシャワーは一人で浴びて、風呂場から出たら速やかに服を着る。
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朝ご飯の準備も出来て、二人で
「今日って、何時からでしたっけ?」
「今日は15時だな。いつもと同じだ」
「午前中、練習行くんですよね?」
「食べたら出るか……」
この季節のライブはメチャクチャ汗を掻く。なので、着替えは必須だ。一応、会場にもシャワールームがあるので問題無い。
「季節は夏ですし……フェミニン系で行こうかな?」
ステージ衣装は専らガーリーな衣装ばかりだ。ステージを降りたとき、衣装で正体分かられちゃうから、最近ステージの外では正反対の格好をするように心がけている。
準備も出来て、私と正吾君はスーツケースとギターを手に大宮楽器店へ向かった。
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「こんにちは」
「いらっしゃい。皆揃ってるよ」
「お邪魔しまーす」
私達は二階に上がった。皆楽器を持って練習を始めていた。部屋の隅には愛花ちゃんが座っていた。
「愛花ちゃんこんにちは」
「こんにちは」
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今日演奏する三曲を通しで何度かやって、お昼になった。私達はお昼ご飯を希乃音で食べ、みんなでライブハウス「Seeker」に向かう。
最近ハイスペックスにちょっと変化があった。
私と陽葵は元から顔を隠しているけど、最近、空君はテンガロンハットを深めに被り始めた。これが中々ベースと言うポジションにマッチしていてカッコいい。大地君はサングラスだ。大地君、サングラスしたら存在感出始めてその姿ちょっと気に入ってたりする。
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ライブはいつもどおり終わり、皆シャワーで汗を流して着替えを済ませた。
そして会場を後に皆で駅へ向かって歩いていた。
「最近、正吾と陽葵、暴走しなくなったね」
「———そうだな」
「やっと丹菜のレベルに追いついたのかな? 丹菜の歌声に当てられなくなったね」
「だな。前は丹菜の声聞くと見えない世界が見えてた感じだったからな」
「動画もフォロワーと再生回数ドンドン伸びてるよ」
そんな話をしながらいつもどおり道を歩き、大通りの交差点まであと十mの距離まで来た時———
“キキキキィィィィ—————————ガジャン! ガン!”
一台の車が突然歩道に突っ込んできた! 事故だ! 凄く激しい音が付近に鳴り響いた。それとほぼ同時に正吾君は私の頭を抱えて守ってくれた。
正吾君が私をゆっくり離すと、私はその事故現場に目をやった。
車は私達の目の前……植え込みに突っ込んで止まった。
そして目の前で何人か倒れている。その倒れている人に声を掛けている人がいた……空君だ。空君は倒れている人に声を掛けている。私は事故現場付近を見た。すると血を流して倒れている人がいる。
私は血を流して倒れている人を見た瞬間、目の前で起きた光景がお父さんとお母さんの…………。
「……お父……さん………お母さん……いや……、イヤァァァァァァァ—————————」
フラッシュバックだ!
そして私は気を失った。
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