能力の目覚め?

「ぬぃやぁ!」

宇宙人だから、表情と感情が直結していないのだろう。

仙人はおかしな言葉を発しながらも、顔は無表情だった。

それがかえって恐怖をあおる。


「おい、おい、おい!よりによって、一番強そうな

ラスボスが来ちまったじゃねーかっ」

川田が焦る。


「に、逃げます?」

「そうだな!」


洋一と川田は、仙人に背を向け

マンモス展示室の出口方向へ一目散に逃げはじめた。


しかし。


「あっ」

二人の動きはピタッと止まってしまう。


「足が動かない!」


「やつの能力は、これか」

そうつぶやく洋一。


川田が洋一に叫ぶ。

「か、体が動かせねえ」


微動だにできなくなった洋一と川田に、

仙人がゆっくりと近づいてくる。


仙人は二人の正面に回り込み

展示してあった、古代の槍を手にした。


「ちょっとー!なんで手頃なところに武器があんのよ」

川田が不満を漏らす。


仙人は槍を持って、川田の方に突進してきた。


川田がやられる!

とっさに目を閉じる洋一。


「顔だけは止めてくれ!」

川田は自分の顔をかばい、顔の前で腕を交差させた。


そのとき、川田の正面に白い光が生まれた。


仙人は、川田の体にやりを突き立てようとしたが、

あと少しで刺さる!というところで、槍がそれ以上、川田に近づけなくなった。


川田の正面に見えないバリアーが張られたのである。


「なにっ。あいつの攻撃が届かない......だと?」


どうやら川田の能力は、バリアを張ることのようだった。



「川田さん、僕もそのバリアに入れてほしいっす」


しかし洋一はまだ動くことが出来ない。


仙人は川田を諦め、今度は洋一にターゲットを定めた。


「いやだーっ!こっち見んな」

洋一は慌てる。


バリアの中にいる川田は、体を動かすことが出来た。

どうやらバリアの中は、どんな超能力も無効になるようだった。


「洋一、そこにいろ。俺がお前の方に移動する」

川田は洋一の方に掛けより

二人の前に、バリアが張られた。


「川田さん、最強っすね」

洋一が喜ぶ。


ところが、今度は二人の背後から、少女の姿をまとった宇宙人がやって来たのである。







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