第107❀.譲渡の儀式です!①

 ごめんなさい、レイラ様! 結論を出す前に、ワタシ的にひとつだけレイラ様に質問する事をお赦し下さい!



【レイラ様はワタシが自分で納得出来るまで、時間を掛けて悩める様にワタシをこの精神空間まで連れて来てくれたんですよね?】



 ワタシが中々決断が出せずに、レイラ様に肩を抱き締めて貰ったままずっとずっと。そう思ったんでしょ? 今迄の一生で一番考え抜いて……



【……そうよ。どうして、そう思ったの?】



 ……あ、何かすいません。此処からはワタシが言い出しにくいのかもって察してくれて、自主的にワタシのココロの声まで覗いてくれまして。



 だってワタシの予想では、日本とこの地上界とでは時間の経過速度が違うと思ってて。そして、この精神空間ともね。


 アインシュタインの相対性理論で考えるなら、時間の経過度合いは……


    日本 < 地上界 <<< 精神空間


の順番で長くなる感覚でしょうか?



 でもその覚悟、実はもうワタシが “次元の歪み” を潜ってこの地上界に降臨した時に既に通った・・・・・路なんですよね!



【ふぅん、そうなのね♪ ココロの声ってね、ヘンに着飾ったりはしないの。嘘偽りが無いのよ。だから、アカリちゃんって……綺麗】



 レイラ様に見守られながらワタシは悲壮な決意で、でも笑顔は決して崩さずに。頬の涙を拭って言いました。



【其の上で、ワタシ……悠久の時間を生きる事になっても良いです。ママの最期を、看取る事が出来るんですから】



 もうワタシの眼に、迷いは有りません。



【ワタシ、ママよりも先に天国に行っちゃう様な親不孝な娘にならなくて済む事が嬉しいんです。だから “譲渡の儀式” 、受けさせて下さい!】


【これがアカリちゃんがじっくり考えて、出した結論なのね。最終的な意思確認だけど……本当に良いのね?】



 ワタシの決意は揺らぎなく、堅いです。レイラ様はふぅ、と息を吐いてニッコリ笑いました。



【分かったわ、アカリちゃん! その前に、女神として今のあなたに足りないモノって……何か想像はつくかしら?】



 ワタシは暫く考えた上で……でも、フルフルと首を横に振りました。



【ま、分からなくて当たり前よね。人間には、こんなモノなんてまず生えてないんだからさ! じゃ、あなたの目にも視える様にしてあげるっ!】



 そう言って、レイラ様はワタシのシャンパンゴールドの “帯” を自分の手の平に乗せました。



【行くよ……我が力を『譲渡』しますっ!】




 レイラ様はそう言って、その “帯” に自分の気を注入したんです!


 すると……

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