どんなものも夢ならば怖くないっ!
主宮
Ep.死と夢
私は、極度の怖がりだ。自分で言うのもなんだけど、本当だ。心配性でもあるかもしれない。今でも夜道が碌に歩けないし…夜トイレに行く時は……ぬいぐるみ持ってかないと怖い。けどそのぬいぐるみも怖く感じてしまう。
けれど、ある日学校の帰りが遅くなって、夜道を歩くことになってしまった。怖い。何が出てくるか分からない。突然刃物を持った人に襲われるかもしれないし、「何か」が出てくるかもしれない。そう思いながら、辺りをキョロキョロしながら遮断機の近くまで辿り着いた。ふと耳を澄ましてみると、後ろから何かが走ってくる音がする気がした。すた、すた、と聞こえてくる。怖くなって走ってみると、後ろの音も走り出した。いつまでも、いつまでも、ついてきている気がする。
(…追いかけられてる…!?)
無駄な心配をして、そのまま走り抜ける。遮断機がもうすぐで閉じるのも気にせずに。
「ちょっと!?君っ!?」
後ろの人の声ももう耳に入らず、そのまま遮断機に飛び込んだ。
ごぉっと音がしたところで私の意識は途切れた………
「…い…お…し……お……」
誰かが外で喋っている気がした。
「おいっ!お主起きろっ!」
「ぴゃっ!?」
目が覚めると、見覚えのない場所。何もかもが白く無限に続いているような、この世ではないような場所だった。
「お主、何をほけーっとしておる。ここは、死後の世界じゃぞ。この世ではないような場所なのは当たり前じゃろう」
目の前に目を向けると、着物の少女が立っていた。やけに古風な喋りで、けれど、そんな事を気にするよりも…衝撃なことがあった。
「え…え…て…こと…は…つま…り…」
「そうじゃ、お主は死んだんじゃぞ。それも…電車に轢かれてな。」
声も出なかった。きっと電車に轢かれたからバラバラ死体となっているのだろう。そう考えると、とても、気分が悪くなった。
「お主、一度だけ、生き返ってみたくないか?今丁度試したいものがあるんじゃが…」
「バラバラ死体でなんて…嫌です…!…是非…」
「じゃが、一度きりじゃ。あと、「これ」は少し使い勝手が悪いかもしれぬ。けれど、生き返るための代償のようなものとして受け取っておけ。さして大きくもないが。では、この世界が夢だと念じてみよ」
(これは夢だ…死んだことなんて…ない…)
私は電車の前に立っていた。後ろから声がする。
「君、危なかったぞ!危うく轢かれるところで…」
「す、すみません…」
夢になったはずなのに、記憶には強く残っていた。老人のような少女、永遠に続く白い空間…夢だったのかもしれない。
その場から逃げるように走り去り、私は家に帰った。
その夜、私は夢を見た。私は夜道を歩いている。その後ろから誰かが来る。それから逃げようと走っていくと踏切が見えてきて…バラバラになった自分が見えた。
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