2-15 園内イベント発動!①
アルバート会長、どれだけ
って、ちょっと待って!
幻聴なんかじゃない
これ、本当に音が響いてるんだわ!
そう私が気づくより
アルバート会長の左腕が左前方の1点を指し示す
「あそこだ」
その指し示す先に見えたのは……
ゆっくり回る観覧車と
そっちから逃げるように走ってくる大勢の人たち
(えっ? 観覧車ってあんなに近かったっけ?)
なんて考え終わる前に理解した
観覧車が台座から
こっちに向かって転がってきていることに!
瞬間、私は
(この光景、ゲームで見たことある!)
そう、それは間違いなく『
お客を乗せたままの観覧車が、ふとした
イベント発生の条件はすべてが明らかにされてるわけではなかったけど
最も重要な条件が「アルバート会長が他のメインキャラのひとりと一緒に園内にいる」こと
うわあ、なんで気づかなかった私
そしてこのイベント発生時に取るべき行動は
プレーヤーキャラがアルバート会長「じゃない」場合は
逃げ
だから私は駆け出したの
そしてプレーヤーキャラがアルバート会長「だった」場合は……
そこまで考えるのと同時だった
私のすぐ脇を何かが
と同時に後ろからエドモンド副会長の声
「ジャン! こっちへ」
振り返った先には、あの場から駆けてきた副会長の姿
必死に駈けてきたらしく、ハアハアと苦しそう
「ええっと、エ、エド、いまのは」
「アルだ」
「ええっ」
「私に『客の避難誘導を。私はアレをなんとかする。ジャンを頼む』と言うやいなや……」
その言葉を最後まで聞くことなく再び前を向いた私の目線の先には
暴走観覧車にまっすぐ向かっていくアルバート会長の後ろ姿
(まさか、本当に“あれ”をやるの?)
でもいまはそんなこと考えている時間はない
「まずはお客を避難させましょう」
私は副会長と手早く相談すると、ふたてに分かれた
私は観覧車の推定走行路から
そして副会長には逃げてくる人たちに「あっちに逃げて」と私のいる方へ誘導してもらう
私は皆に向かって「こっち! こっちです!」と大声を張り上げる
でも視線はともすればアルバート会長へ
駆ける会長が、
(うわぁ、やっぱり“あれ”をやるつもりなんだ)
アルバート会長がやろうとしている“あれ”
SNSじゃ「成功率50%」というのがもっぱらの
そして失敗の中には少ないながらも「キャラの死」も
観覧車は木製の大きなリング状の骨組みふたつが横木でつなぎ合わされてできている。会長はその向かって左側のめがけて一直線
ここからは私の目にはスローモーションのように
会長が剣を頭上に振りかざす
目にも
リングの
だけど観覧車は急には止まれない
リングの切断された部分が地面に触れる
自重を支えきれず破断し、部材が猛烈な速度でちりぢりに
残る本体はグラリと大きく
そのまま
……会長が駆け抜けて行こうとする側に
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