解禁! 怪獣バトル!

@woshida

解禁! 怪獣バトル!

「やったー! とうとう休みだ!」


 息子は大喜びだ。


「怪獣バトルが、今日から解禁ってわけだね」

「ああ。今日からは、思う存分、お友達と戦えるよ」


 私はそう言ってやった。

 怪獣バトル。

 それぞれに育てた怪獣を戦わせて勝敗を競わせる、小学生のあいだで流行っている遊びだ。

 もちろん、デジタルのそれではない。

 本物の怪獣を育てて、戦わせるのだ。

 子供の遊びの中でもトップクラスの人気である。

 もちろん、うちでも、勉強をちゃんとやるのと引き換えに、怪獣を買い与えて、やらせてあげていた。


 怪獣をどこで戦わせるかって?

 知的生物のいない惑星を選んで、そこに怪獣を放して、バトルロイヤルをさせるのだ。


「どこにしようかな……」

「あの島なんて、いいのじゃないかな」

「そうだね。あそこに、ボクの怪獣のドボルゴンを着陸させようっと」


 息子はワクワクした顔で、宇宙船を操作し、怪獣を地上に着陸させた。

 地上に着陸すると、現地に巣を作っている原始的な生物が、道具を使って怪獣に攻撃をしかけてくる。


「お、この星には小さな下等生物がいるんだねえ」


 私は、惑星から送られてくる映像を見ながら言った。


「あんな原始的な核爆弾なんか使って、ボクの怪獣に効くわけがないのに」

「そういうことが分からないから、原始的なんだよ。他の惑星にも行けないような原始動物だからね。もっとも、そうでない高度な知性を持つ生き物が住んでいるような土地は、可哀想で遊びに使うことは出来ないからねえ……」


   ※


「全世界のみなさま、これが当局からの最後の中継になるでしょう。全世界の各地に、巨大な怪獣が次々と現れ、暴れています。核爆弾にすらびくともせず、もはや人類に打つ手はありません。地球の滅亡はもう間もなくでしょう。さようなら、さようなら……」

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