悲しきガストロノームの夢想(改)
中嶋雷太
第1話 オマール海老の握り寿司
FacebookなどのSNSで、食べたり調理する話を度々投稿し、かれこれ10年近くなるので、一品一品、少しだけ生真面目に、書き綴ってみようかと考え、今回からシリーズ化を試みます。
で、今回は「オマール海老の握り寿司」です。
小田原のあるお寿司屋さんで、初めてこのお寿司に出会ったとき、海老蟹好きな私は狂喜乱舞しました。
甲殻類機動隊隊長と名乗りたい私です。
恐る恐る注文し、皿を手渡されたときは「どのように食べれば良いか」と一瞬考え込みました。鮮やかな海老色を纏ったプリプリの身、その下には赤酢の硬めのシャリ。
硬めのシャリが好きな私は、とても真面目な表情を作り、右手の指三本でそろりと摘みました。
すると、オマール海老のプリプリ感が、味覚脳にビンと伝わってきました。
身側にお醤油を少しだけつけ、口に運びました。
はい、プリプリ感と上品な海老の香りが口中に広がり、食の幸福感に満たされたのは言うまでもありません。
甘海老、牡丹海老……海老類は大好きな握り寿司のネタですが、何十年も生きてきて初めて味わったオマール海老の握り寿司は、海老握り寿司界のラスボス的な存在として、私の「美味しいものを食べたい」ノオトにしっかり記されました。
世田谷区に住む私が小田原に行くのもままならず、しょっちゅう食べられませんが、数カ月経つと「オマール海老の握り寿司が食べたい!」と叫び出し、仕事もままならず、世田谷の自宅から西湘バイパスを車で飛ばし、オマール海老の握り寿司に合うのを恋い焦がれる私です。
私の湘南の恋は、オマール海老の握り寿司なのです。桑田さん。
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