一人一人の覚悟

「いや、今我々はもっと重大な問題に直面しています、、、」

その場の空気が重くなるのを感じた。

「先ほど【タルタロス】が荒地の周りを囲ってると話しましたよね?それを取り除くための研究をしたいと、荒地の部族会議である、【ハウル】にて主に北に勢力を置くガイコツの族長のリッチである、ドライが提案しました。しかし、南に勢力を置く、代々森を守ってきた妖精族の族長のドライアドであるアフロディーテがそれに反対しました。理由は研究する際に森の一部が伐採されてしまうからでした。その一件があってから何回か協議はしたものの双方の溝は深くなってしまい、つい先日ガイコツが南の妖精族に戦争を仕掛けてしまいました。我々ゴブリン、オーク、ウルフの3部族は南と北の真ん中に住んでいたので、戦争に巻き込まれないように部族同盟を結成しましたが、ドライ率いるガイコツはとても強く、どんどん突破されてしまい、、、今は妖精族の地域のすぐ隣の端のほうに追いやれてしまっています、、、

どうか、、我々の命だけでも助けてやってはくれませんか???」

ある程度、話を聞いた俺は頭を悩ませた。


(ここまで偉そうに話を聞いたからなぁ、、助けてやりたいのは山々だが、、、俺もスキルが、、、ないんだよなぁ)

〈スキルについですが、マスター、実は先ほどこの村にある魔素を吸い取ったことでレベルが1あがって現在2レベルです!そして、新たなスキルは以下の通りです。

NEW、レーヴァテイン〈天1級〉

NEW、鼓舞〈天1級〉

まず、スキルレーヴァテインは天1級に値するレーヴァテインという鎌を扱うことができ、レーヴァテインの能力は所有者の身体能力の大幅な向上と「魔法を魔素に戻す」能力を使うことができます。ちなみに、天一級はEXの一つ上であるためかなり有効なスキルです。そして、スキル鼓舞では、自分の配下になったものに対して魔素を付与することによって本来の力よりも数段上の力を発揮することができます。"配下"というのは実質的な眷属化と同義です。〉

(よしきた!天一級!これなら、少しは対抗できるだろうな、、、)

「よし、いいだろう、お前たちをガイコツから守ってやる!!」

クレバーは少し俯いたと思えば、下を見ると、木の床に涙がすこし染み込んでいた。

「ありがとうございます、、本当に、、、」

(これでいい感じで終われるかな、、、?)

と思ったのも束の間。殺気を感じた俺は少し後ろを振り返る。そこには、今にも飛びかかってきそうなパワーがいた。

(パワー、、、でも、ここで耐えて何もしてきてないのは、根は知性的ということなんだろうな) 

すかさず俺は言う。

「クレバー、一つ条件がある。」

「なんでしょうか?大抵のことなら構いませんが、、、」

クレバーは少し不思議そうな目でこちらを見上げる。

「単刀直入にいう、、、ゴブリン、ウルフ、オークの3部族全員、、、俺の配下になれ」

場が一気に静まりかえる。風の音すら聞こえない。

(流石にまずいかな、、、?)

「私は、、、賛成です。。。」

カインドだった。俺はびっくりした。

「な!?」

他の2人も驚く。

「私は、、ガイコツが攻め込んできたあの日から、、、ゴブリン族を守るためなら"悪魔"にでもすがると決めました、、、私は、、、この方にすがると決めました。」

(さっきまで、虚ろな目をしていたが、、、覚悟を決めたみたいだな、、俺は嫌いじゃない目だ、、、)

「おい、、、いい加減にしろ!」

大きな声で怒鳴ったのはパワーだった。

「"配下"になるというのは"指導者''を変えることとは何もかも違うんだぞ!、、、奴隷、とまでは言わないがそれに近い関係に、、自分の家族をさせるんだぞ!」

(キレるのも無理はない、、、だが、俺がこの条件を提示したのには理由がある。まず、鼓舞の能力を使って戦力を底上げしたいのが一つだが、、、真の目的はこいつらにどれだけの"覚悟"があるのか見極めるためだ。命には命をかける、、、こんなのもできないやつを俺は決して助けたくない。。。苦い思い出が深い池のそこから這い上がってくるな)





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