第34話 神の力
右京さんのお願いを聞く事にした俺は数分後KIROから出ると、直ぐに隣の畑へと向かった。
「メマー、ちょっと話があるんだー」
「なにー?」
俺は畑で両手を掲げ唸っているメマへと話し掛ける。
駆け寄って来たメマに、俺は目線を合わせる様にしゃがみ込むと、メマと肩を組んだ。
「メマさ、甘いものとか食べたくないか?」
「あまいの!? たべたい!!」
突然の質問にも関わらず、この反応。やはり、やはりである。
此処最近、メマは甘い物を食べていない。食べれていないと言う方が正しいだろうか。最近俺にはお金がない(節約している)所為か、嗜好品であるお菓子やホットケーキミックス等を買っていないのだ。
「そうだろ〜、実は右京さんが甘いものを作ってくれるらしいんだ」
「……うーん」
右京さんの名前を出しただけでこうも変わるかね。
「良かったら一緒に食べないかなぁって。2人で食べた方が楽しいだろ? 一流の料理人の甘い食べ物食べないかなぁって」
「うーん……ひなおねーちゃんは?」
「比奈はちょっと忙しいから、一緒には食べられないみたいなんだ」
実は比奈にもメマと仲良くなろう大作戦の人員に入って貰おうと思ったのだがーー
『すみません、私はやる事があるので』
と言われてしまったのだ。
「えー……」
「……おとーちゃんと一緒じゃダメか?」
「ぜ! ぜんぜんいやじゃないよ!! でもあのおばーちゃんが……」
うーむ。頑なである。
「メマちゃん」
そんな時、俺の後ろから右京さんが歩み寄ってくる。
予定ではKIROで和菓子を作って待っている筈……何で此処に?
俺が右京さんを見ているとーー。
「話してる内に芳しくないって分かったから」
また覗き見してたのか……って、今はそんな事を考えても仕方ないか。
チラッと、メマの方を見ると親の仇だと言わんばかりに右京さんを睨んでいるメマが居た。そんなメマに右京さんは、膝に手を着き話し掛ける。
「メマちゃん、私メマちゃんと仲良くなりたいんだ」
「……ふーん」
「……私の事、嫌い?」
「きらい……じゃないけど、こわい」
怖いか、うーん。人間、印象は最初の会った時にすべてが決まるって言われてるからなぁ。あの時の右京さんの圧力と言ったら、子供のメマからしたら相当な物だったのかもしれない。
「そっかー……仲良しになりたいんだけど、どうしたら仲良くなれるかなぁ?」
「たぶん、ずっとなかよく……できない」
「……?」
その言葉に右京さんはショックを受けたのか少し仰け反った後、悲しそうに首を傾げて此方を見てくる。俺に頼られても分からないのだが。
「メマ、何で多分ずっと仲良く出来ないんだ?」
「おばーちゃんのなかになにかいるから…」
おばーちゃんの中に何か……? あぁ、怖い時の右京さんが居るっていう意味か。
俺は納得すると、小さな声で右京さんに耳打ちをする。その後、俺は右京さんに対して身構えると両手の掌を前に突き出した。
「おら! 怖い右京おばーちゃん、あっちいけーっ!!(右京さん! 打合せ通り良い笑顔を見せて下さいよ!)」
「え……」
「ちょ、ちょっと……どうしたんですか……!」
俺の会心の演技を見せる中、右京さんは戸惑うように自分の体を見て呆然としていた。小声で叫ぶ芸当も見せるが、なんの反応も見せない右京さんに戸惑っているとーー。
「!! おとーちゃんすごい!!! ほんとうにあっち行っちゃった!!」
大騒ぎしているメマ。
そして。
『ファントムの討伐を確認』
『レベルが上がります』
『レベルが上がった事により能力が上がります』
『神の地に住まいし者の効果により、神の地のレベルが上がります』
『神の地の詳細を診る事が出来る様になりました』
「ふぁ?」
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