第21話 ステータスボード
ふぅー、一旦落ち着こうぜ?
目の前にある半透明のボードを見ながらゆっくりと深呼吸して、俺は気持ちを落ち着かせる。
……俺がスライムを異世界の扉から出て来た。そう思った瞬間に謎のアナウンス、そしてステータスボード? とやらが目の前に現れた。
前も聞こえ来た事はあったけど何で今更になって……あ、俺が異世界の扉の事を知って、改めてエースさんの事をスライムと認識したからとか?
だけど、そうだとしてもこれはおかしいだろ?
name:椎名 哲平
skill:神力 テイム
title:[神の地に住まいし者][従わせる者]
ゲームかって。それに何? この『神力』というやつ、それと『神の地に住まいし者』って。
はぁ。
ぷるっ
「何だよ、慰めてるつもりか?」
ポンポンと触手で足を触ってくるエースに微笑みながら、俺はエースと共に外に出た。
取り敢えずはエースさんの紹介がてら、比奈に相談してみよう。
俺の知識だけじゃ判断できないと思った俺は、エースさんを片手に比奈の家に向かった。
「ーーで、こうなった訳なんだけど」
「何がこうなった訳? バカなんですか?」
比奈の家に着き、リビングの中で説明を終えると比奈は目頭を抑えながら言った。
見事なまでのブチギレである。
「まず、そのスライムを片手に来るところから終わってる」
「エースさんだ。丁重によろしく頼む」
ぷるっ
エースさんはぷるっと震えて、触手を比奈に伸ばした。
「……よろしくね、私は西園寺 比奈。哲平さんが迷惑をかけていた様ね。私から謝るわ」
比奈は笑顔でエースさんの触手を手に取った。
納得はいかないが。仲良くなれそうで何よりだ。
呑気にそんな事を思っていると、突然比奈はエースさんの手を取った途端に、驚いた表情で顔を上げた。
「比奈?」
「……変な声が聞こえたと同時に、ステータスボードが目の前に出ました」
おぉ! やっぱりその声が聞こえるのは魔物と接触があった時か!!
「なんて書かれてる!?」
「name:西園寺 比奈としか書かれていません」
「skillとかtitleってのは?」
「スキル? タイトル? 哲平さんには付いてるんですか?」
「うん」
……何で付いてないんだ?
「……哲平さんのステータスを教えて貰いませんか?」
首を傾げ、俺が不思議に思っているのが伝わったのか俺は比奈にステータスを教えた。
「『神力』に『神の地に住まいし者』、『テイム』に『従わせる者』ですか……」
そう言うと、比奈は徐ろにスマホをタッチし始める。
「……ステータスボードはアメリカの軍人が自分の備わっている力が分かる、とSNSに投稿してますね。skillやtitleについては何も触れられてないみたいですけど……明言してないだけであるかもしれませんね」
取り敢えず、テイムと従わせる者ってのは理解出来るよな。俺がエースさんを何でか分からないけど、従わせて付いたとかそんな感じだろう。
問題はーー
「この『神力』『神の地に住まいし者』。そして何より、エースさんが此処に居るって事が問題ですね」
「そうなんだよ、此処にエースさんが居るって事はーー」
ぷるっ
「「何処かに異世界の扉が開いている」」
マズくない?
「……取り敢えずだけど、探してみるか? 2人で」
「! …………良いですけど、ちょっと待って下さい。着替えて来ます」
比奈は少し早足で、リビングから出ていくのだった。
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