暗殺2
あれから――和の騙し攻撃に乱され結局負け。良かったね、とセーフティーゾーンに戻ってくると和の隣に小柄な女性。彼女を見て勝、兼二、京一は人間レンタルサービスだと悟り他人のふり。
見るからに軽装。初心者でも扱いやすいハンドガンとなるとさては――お初か。
「怖かったでしょ」
「は、はい!! でも、小鳥遊さんのおかげでなんとか」
「いやいや、俺の知り合いに当てたから中々センスあるんじゃない?」
アハハッと年下女性と話す姿に嫉妬ではないが胸くそ悪いとガン飛ばす勝。知り合いに当てた。それが気になり隣の兼二と京一の二人に顔を向けるとそっぽを向かれる。
手加減だ、と兼二。
女っすよ、と手話で京一。
「なるほどな、利用されたわけか」
二人の様子を伺っていると時間なのか。女性を見送る和。後、三人と合流すると“ごめんね”と申し訳ない言葉に無言。
「気になってたみたいだからさ」
照れ臭そうに言うと真面目な顔で、で本題なんだけど――と目付きが変わる。
和の話によると“調子に乗ってる若造チーム”がおり、ルール無視でナイフキルや格闘と何かのアニメか自棄糞か。対応に悩んでいるとのこと。“報復”話を聞き付けた管理人が和に電話し了承。ついでに、皆で遊ぶかと誘ったらしい。
*
「若造か。ほっときゃよくね?」
ゲームを数回こなし昼過ぎのファミレス。
ピーク時と比べると人は少なく、四人はテーブル席で呑気に食事。ただ一人。京一は束縛時間が長く、子供のように嫌だ嫌だと駄々子ね中。兼二が脅しかけてなんとか踏みとどまってくれるも頼んだポテトフライをつまらなそうに咥え、テーブルに伏す。
それを見つめなが和は勝と会話。兼二は返事はないものの耳を傾ける。
「俺もそう思ったのよ。でも、ゾンビ行為は腹立たない? ほら、当てたのに当たってないとか」
「まぁ、それなりに」
「他にも女性ばかり狙ったり、色々してるみたいでね。来るのは夕方。貸しきりにしてくれるから今は観光気分ってことで。なかなかこんなところに来ないからさ。たまには羽伸ばしたいでしょ」
和の隣でダラーンとしている京一。どうにか機嫌を直せないかと“京一ちゃんパフェ頼もうか”“奢るから好きなの食べてね”と我が子並みに接するも効果なし。無理だ~、と諦めたかコーヒーを口に運ぶ。
「ほっとけ。そのうちやる気になる」
頭を抱える和に大きなジョッキに入ったイチゴミルクを真剣な顔で飲む兼二。彼の目の前には主食ではなくパフェやアイス、ケーキと甘いものばかり。知らん顔で頬張り、一瞬幸せな表情。
和が奢る。京一に言った口実を親身に受け止め、金額関係なく食べているのだろう。勝も体を動かしたせいか食欲が良い。
「勝、俺とじゃんけんして」
「やなこった。どうせ負けたら払わせんだろ」
*
その後――。
ゲームセンター、キャラメイト、G―BOOKにショッピングモール付近に施設が多く、徒歩で何件もハシゴ。気づけば財布の金はなくなりかけ、京一の不機嫌さは更に増し。和は物欲しそうに彼が見ていたぐ~たらクッションというダルそうにしている動物のぬいぐるみを買ってやり、持たせ歩かせる。それは気に入ったようで約束の時間である夕刻にサバイバルゲーム施設へ。
「あ、今日の相手チーム? えっ、おじさん」
受け付けに行くや目の前にお揃いコーデか黒いパーカーに黒系統の迷彩ズボン。和が言っていたように若々しさがある大学生。マジか、と残念そうに四人を見つめるも京一を見てコソコソし出す。
「あの人弱そう」
それを見て見ぬふりして和らはロッカー室に向かい軽く支度を澄ませるとフィールドのセーフティーゾーンへ。
「小鳥遊さん、あの……」
依頼をした施設の管理人が申し訳なさそうに話し掛ける。不安な表情に和は勝と兼二に聞こえるように返す。
正式なルールは効かない。なら、それ同等のことをすればいい。相手がhitって言うまで苦しめれば此方の勝ちでしょ。
“相手と同じやり方でやる”。
それはお仕置き含め躾込みな言葉。
「殺しちゃ」
「めっ」
「殴っても」
「いい。あ、警棒めっ」
「ゾンビは」
「任せる」
確認するように独り言を言う勝。その言葉に和が付け加え返す。すると、兼二が割り込むように――。
「許しを請われたら止める。それは俺は出来そうにない」
「じゃあ、気絶なりお好きにどうぞ」
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