鬼の奏でる失われた鎮魂曲

西岡てつ

序曲

まるで空気さえも存在していないかのようなそんな重苦しい部屋の片隅に男はまるで人形の様に横たわっている。

場所は都内の端っこに位置する区に所在する場末の音楽スタジオ内の一室である。


部屋の内側から扉の鍵が掛けられていて外からは開ける事が出来ない。

男は眠っているかの様に静かに逝去していた。

死因は心不全。判っているのはそれだけである。


事件から数日が経ち、警察内では早くも迷宮入りの呼び声が大きくなり始めていた。

そんなある日、都内の別のスタジオで全く同じような事件が発生した。


それから、更にひと月が経った頃、全く同様のシチュエーションにて死体が発見された。この2ヵ月と言う短い期間に同じようなケースで発見された死体がこれで三人目である。異常としか言いようが無い。

自殺、他殺の判断が付いていない状況ではあったが、警察の調査は水面下で続いていた。



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