初めての決意
[柴宮 茜]
異世界に召喚されてからのみんなはこの世界に対して様々な反応を示していた。
わくわくしてきたと楽観的で楽しそうにしている組。
そして私のように知らない世界に飛ばされて怖がり夜な夜な枕に涙をこぼしている組...
そんな中一人遅く目を覚ました天音君。
今は王座の間でみんな列になってステータスというものを確認するために並んでいる。
(天音君大丈夫かな。またあの放課後の時のようにお喋りしたいなぁ...)
そんなことを思いながら前に進み水晶玉に触れ...
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[天音 優]
(やばいやばい! 色々とおかしいぞ僕のステータス!)
心の中で自分のステータスにツッコミを入れながら確認していく。
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天音 優 男 人間 Lv,1
ジョブ「 」
MP:50(+200)
筋力:30
防力:100
体力:30
敏捷:90
魔力:30
スキル:言語理解lv1・短剣術lv,1・闇魔法lv,1・青魔法lv,1・風魔法lv,1・光魔法lv,1・アイテムboxlv,1・物理耐性lv,2・魔法耐性lv1・危機察知lv.2・偽装lv,3
固有アビリティ:与えられし心臓・二面性
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(他の人のステータスを見る限りレベルなんて一切上がってなかったのに...)
天音はこのステータスをクラスメイトに見せると今の状況がもっと悪化すると考えていた。
そんなことを考えていると『おおぉ!』と勇者の時と同じぐらいの盛り上がりを見せており
ちらっと顔を上げ宙に浮いているステータスプレートを見ると盛り上がった理由が分かった。
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柴宮 茜 女 人間 Lv,1
ジョブ「聖女」
MP:200
筋力:30
防力:100
体力:100
敏捷:60
魔力:300
スキル:言語理解lv1・杖術lv,1・回復魔法lv,1・青魔法lv,1・風魔法lv,1・光魔法lv,1・アイテムboxlv,1・物理耐性lv,1・魔法耐性lv1・危機察知lv.1・鑑定lv,1
固有アビリティ:聖女の想い
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(魔力に関しては僕の10倍...やっぱりすごいな。......って感心してる場合じゃない!)
そう思い自分のステータスに書いてあるスキル一つ一つに意識を向けていると一つだけこの状況を安全に抜け出せそうなスキルを見つけた。
(これしかない!!)
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[田中 健斗]
クラスメイト達のステータスを見ながら俺は考えていた。
自分のステータスが高ければ天音を守ってやれるんじゃないか、と。
そう思い水晶玉に手を当てる。
(頼む!天音を守ってやりたいんだ!)
宙に浮いている自分のステータスを見る。
(よっし!!!)
決して声には出さない。顔を見られたら思いっきり喜んでいるのがバレるだろう。それは恥ずかしいので顔の表情筋を落ち着かせる。
だけどそれ程までに、宙に浮いているステータスプレートは自分の望んだかのようなステータスになっていた。
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田中 健斗 男 人間 Lv,1
ジョブ「武闘家」
MP:50
筋力:200
防力:100(+100)
体力:150
敏捷:60
魔力:30
スキル:言語理解lv1・格闘術lv,1・赤魔法lv,1・物理耐性lv,1・空歩lv,1・魔法耐性lv1・鑑定lv,1
固有アビリティ:守り人
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そんな喜びを天音と分かち合おうと後ろにいる天音に声を掛けようと振り向くとそこにはブツブツと呟きながら考え事をしている天音がいた。
気にせず声を掛けようと近寄ろうとした時、先ほどのブツブツ声とは違いはっきりとした声で、だけども声を最小限抑えるかのように天音がこう唱えていた。
【偽装】 と。
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[天音 優]
【偽装】
そう発言した瞬間に自分の頭の中でステータスをいじることに成功していた。
(lv,3のおかげなのかスキルと固有アビリティをいじれるようになってる...)
触れることができなかったのは数字系とジョブ。
(本当はMPのプラス補正も消したいんだけどなぁ..)
こればかりは仕方ないかと思い前を向くと声を掛けずらそうにしている田中君がいた。
「あっ、ごめん。僕の番だったんだね」
「...そうだぞ!天音のステータス楽しみにしてるからな!」
その言葉を背中で聞き水晶玉に手を当てると出てきた。そしてステータスプレートにはしっかりと偽装が施されていた。
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天音 優 男 人間 Lv,1
ジョブ「 」
MP:50(+200)
筋力:30
防力:100
体力:30
敏捷:90
魔力:30
スキル:言語理解lv1・短剣術lv,1・青魔法lv,1・風魔法lv,1・アイテムboxlv,1・魔法耐性lv1
固有アビリティ:
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クラスメイトからは「MPだけのモブ」や「異世界でも変わらない奴いるんだな」など。
大半の人たちがニヤニヤしており、少数のジョブ無しの人たちやステータスがチートレベルの中では少し低めの人たちは安堵していた。勿論、気持ち悪い視線を向けてきてる者はニヤニヤと気味の悪い笑みをこぼしている。
クラスメイトの塊の後ろで待っていてくれた田中君と合流する。
「天音良かったな!平民と同じステータスとかじゃなくて」
「あはは...」
そんな笑顔を向けてくる田中君を【偽装】でだましていると思うと心に来るものがある。
言えそうな時が来たらしっかり言おう..と心の中で思う。
そうして王は最後に僕のステータスを確認した後、明日から訓練を開始するとの発言。そして貴族の代表が長々と話した後、今日はお開きとなった。
部屋に戻った僕は窓を開けて夜景を横目で見ながら自分のステータスを手の平の上に出し、見ていた。
(やっぱり誰でもステータスプレートを出すことができるんだ...)
(まだ自分の出したプレートを他の人が認識できるかは分からないから自分の部屋以外では出さないようにしなくちゃ...それにしても。)
ステータスプレートを消し、夜景を見ながら
(本当にここは、異世界なんだなぁ..)
と、綺麗な夜空に見える二つの月らしきものを見ながら思う。
外に吹いている夜風はどこか地球とは違う匂いを運んでくる。
天音は心地よいと感じていた夜風を終わりと言わんばかりに窓を閉めベッドに体を意識と共に沈める。
眠りに落ちる前に天音は「生き残るために明日から頑張ろう」と心に決めながら眠りにつく。
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[???]
コツ コツ コツ
とある一室の魔法陣の周りをグルグルと歩き回っては立ち止まりまた歩き回る。それを繰り返している金髪ロングヘアーの女性がいた。
その女性は勇者召喚を行ったときに唯一、制服に穴が開いていたその一着を手に持って考え事をしていた。
(この服を着ていたのは...)
もう片方の手に持っているメモ帳。そこに書かれているのは勇者達のステータス。
(天音 優..ね。 ジョブ無しでスキルも勇者召喚内では平凡..)
その女性はMP補正に目を向ける。その補正に何かがあるかのようにニヤけて一人心の中で呟く。
(この少年、何か隠してるわね)
その夜、この女性の思考を止める者は誰一人として居なかった。
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