月兎の夢見る華
灰人
第1話
「ねぇ、あなた私のことなんて見ちゃいなかったでしょう。」
今日も空白に語りかける。返事が返ってこないそれはまるで鏡にでも話しているようで、自分が孤独なような錯覚に陥る。
「だって、いつも自分勝手で、私を思ってすることなんて少しもなかったもんね。」
依然、返事は来ない。続ける。
「でもね、それももう終わり。私、あなたから卒業するの。」
そんな大それたことを言ってみても、ガラス越しの貴方の表情が変わることはない。
「だって、だって、あまりにも惨めじゃない…私だけ、ずっと引きずっているなんて」
そう、きっと貴方はもう私のことなんて忘れて、天国で楽しくやっているのだろう。
五年前、この場所で…私の恋は始まり、終わった。
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