【ちょっと男子ー!】男子学生 対 引率の先生!【抜け出せ修学旅行の夜!コラボ】
和風の旅館を前にして、ブレザー服姿のトーカが挨拶をする。
「こんにちは、人類。彩羽根トーカです」
コメント:トーカちゃん!
コメント:こんにちは!
コメント:キター!
コメント:新衣装!?
コメント:しれっと新衣装。これがトーカなんだよね
「今日はなんと、バーチャルラウンジを使って修学旅行に来ています! 見てください、これが今日泊まる旅館ですよ。いやー、立派ですね!」
トーカがグリグリとカメラを回す。塀の向こうには宿の屋根の他、竹林などが見えた。
コメント:風情ある
コメント:ああー京都っぽい
コメント:奈良っぽいわ
コメント:旅館より制服だよ!?
コメント:制服かわいい
「それでは今日はね、コラボということで! ゲストを紹介します!」
「みんなー! 見てるー!? ミチノサキだよ! っていうか見て見て! お揃いなの! イエーイ!」
カメラに入ってきたミチノサキがいつものポーズを決めるのも早々に、くるりと一回転する。ブレザーのスカートがふわりと舞った。
コメント:うおおおおお!
コメント:見てるー!
コメント:ギャアアアアア!
コメント:ありがてぇ……ありがてぇ……
コメント:おそろいの制服とか殺す気か
「えへへ、これね! トーカに作って貰っちゃった! トーカ、ありがとう! 大好き!」
「エッ、ウッ、ウン」
コメント:しんだ
コメント:ウッッッ
コメント:サキトカてぇてぇ
「あらあら、別にあなたが特別というわけではありませんよ?」
反対側から大きなみつ編みを下げた制服の少女がやってくる。
コメント:リッリアちゃん!!
コメント:ああああああああああ!
コメント:制服似合う
コメント:かわいい
コメント:胸が!
「わたくしもトーカさんに制服を作っていただきましたからね。ごきげんよう。皆さまを天に導く、神望リリアですわ」
「むー、そうだけどー!」
「フッ、バーチャルラウンジの、というかアバター統一規格の恩恵だな」
リリアの後ろから、宙に浮いた包帯でぐるぐる巻きにされているリーゼント犬がやってくる。包帯が腕組みをしているように動く。
コメント:出た
コメント:偉そうなイヌ
コメント:ビスくんきたああああ!
コメント:ビス様うるわしい
「リリアのアシスタントのイヌビスだ。ハッハッハ、どうだ、トーカ、素晴らしいだろうバーチャルラウンジは」
「実際にコーディングしてくれるガブガブイリアルのスタッフさんにはいつも感謝してます!」
トーカはにこりと笑って言う。
「ウッ……むう、そ、そうだな」
コメント:草
コメント:言い負かされてて草
コメント:いつもの塩対応www
「あら。でも制服を作ったのはトーカさんですわよね? そこは誇ってもいいと思いますわ」
「えっへへ、そうですか?」
「ええ。何もしていないイヌビスよりも威張っていいと思いますわね」
「いや、キサマ、何もしていないということは――」
「はいはい、後がつかえていますわよ。さ、お二人まとめてどうぞ」
「は、はいっ」
緊張した声とともに、書生のような格好をした一組の男女がカメラに入ってくる。最初に挨拶したのは、青い着物を着た少年。中性的な声で言う。
コメント:おっ
コメント:帝都組!
「こんにちは! バーチャル帝都所属の、
ピンクの着物を着た眼鏡の少女があとをつぐ。
「おっ、同じくバーチャル帝都所属の、
コメント:なのみ屋!
コメント:双子そろってコラボか!
コメント:誰かな?
「はぁー! 二人ともかわいい……好き……」
「トーカさん……トーカさん? 紹介を……トーカさん?」
「アッアッ、ハッ、はい!」
コメント:草
コメント:い つ も の
コメント:このVのオタクはさあ
コメント:逆に安心するわ
「えっと、バーチャルな日本を舞台に新式放送局で働く学生さん、バーチャル帝都から七見屋アキラさんと、ミサギさんに来ていただきました! 2学校共同の修学旅行、みたいな感じですかね! 二人とも、今日は来てくれてありがとう!」
「あっ、こっ、こちらこそー!」
「あのっ、トーカさんとまた会えてとても嬉しいです!」
「アッ、いやいや、えっへっへ」
コメント:しっかりしろ魔王
コメント:笑い声がだらしなさすぎて草
コメント:あーそういえばカラオケでコラボしてたな
コメント:新式放送局すき
「二人ともかわいいね! 髪型も一緒でかわいいー! 苗字同じだけど、きょうだいなの?」
「あ、はい。ボクたち、双子なんです」
「うん」
「へぇー! そうなんだ! すごいね! 確かにそっくりだもんねー、双子かあ! うんうん!」
サキはしきりに頷く。
コメント:サキちゃん……?
コメント:そらアバターだから……サキちゃん?
コメント:純粋なサキちゃんでいて
「スゥ……はい! というわけで、今日はね、このメンバーで遊んでいきたいと思います!」
「イエーイ! 早く早く! 中に入ろうよ!」
「入口はこちらですわよ」
ダイジェストで宿の中を見学している様子が流れる。
コメント:めっちゃ懐かしい感じする
コメント:いい宿だな
コメント:フルで見たい
コメント:ししおどしを止めようとしてるの草
そして、日が落ちる演出。夜の宿、その客室に場面は移る。
「さあ、というわけでここからが本番です! 今回の企画は、このバーチャルラウンジ対応ゲームスペースで、2チームに分かれての対戦になります!」
部屋の中に立つ面々は、イヌビスを除いてジャージ姿だった。トーカ、サキ、アキラが青ジャージ。リリア、ミサギが黄色ジャージ。
コメント:おおおおお!
コメント:まーたしれっと衣装替えてくるー
コメント:これ市販のジャージだな
コメント:おそろいジャージかわいい
コメント:イヌだけハブで草
「ゲームのタイトルは……『抜け出せ! 修学旅行の夜!』」
「イエーイ! もうタイトルから楽しそう! どんなゲームなの!?」
「フッ、では説明しよう」
イヌビスが包帯で髪をかきあげるような仕草をする。
コメント:エアファサァきました
コメント:イヌの中身はほんとキザね
コメント:三枚目感ある
コメント:新作ゲームの宣伝か
「このゲームスペースは、『ナンズオンザラン』というボードゲームから着想を得て、我がガブガブゲームスが作ったのだ。ナンズオンザランは簡単に説明すると、修道院から修道女たちが、院長の目をくぐり抜けて悪事をしにいくというゲームだ」
「お酒を取りに行ったり、恋文を取りに行ったりするのが目的ですね。院長側はそれを阻止するっていう。『呪いのミイラ』『スコットランド・ヤード』と似てる感じです」
コメント:渋いところを
コメント:へーボードゲームなんだ
「ナンズオンザランは、着想はいいのだが人力でやるにはなかなか煩雑でな……あと、修道院とか、日本人には馴染みがないだろう?」
「確かに」
「うん、名前しか知らない」
アキラが頷き、ミサギも続く。
コメント:シスターがいるところでしょ
コメント:教会との違いはなんなんだろう
コメント:男子修道院もあるぞ
「そこで日本人なら誰もが設定を受け入れやすいよう、舞台を修学旅行先の宿にして制作したのが、この『抜け出せ! 修学旅行の夜!』というわけだ」
「プレイヤーは男子学生チームと、教師チームに分かれて戦います!」
「男……子?」
アキラは自チームを見渡す。
「えっと、イヌビスさんは、男子」
「フン、当然だ」
「で……えっと」
「サキ、今日はめいっぱい男の子だから!」
「私も心は男子ですよ!」
「あ、あはは……」
コメント:草
コメント:まあこの中で分けるならねえ
コメント:トーカは男子っていうよりおっさんだろ
コメント:サキちゃんは小学生男児って感じする
コメント:むしろ一番アキラくんが女子力高そうでは?
「教師チームはわたくしとミサギさんですわね」
「よろしくお願いしますっ!」
ミサギはぺこりとリリアに向かって礼をする。
コメント:かわいい
コメント:リリア先生の個人授業受けたい
コメント:ミサギちゃんがんばれ!
「教師チームの目的は、男子学生チームの目的を制限時間内に達成させないことですわ」
「なるほど、目的っていうのはなんでしょうか?」
「男子学生チームの目的は、プレイヤーごとに様々ですね!」
トーカが張り切って説明役を受ける。
「例えば、女子生徒の部屋に一定時間滞在するとか」
「あぁ~……あるある」
コメント:あるある
コメント:いたなぁ
コメント:どういう人生送ったら女子の部屋に招待されるん?
「自動販売機でお酒を買いに行くとか」
「え、いいんですか? お酒」
「ふふふ。何学生とも言っておりませんから」
コメント:草
コメント:※登場人物は全員20歳以上です
コメント:今は深夜は買えないからなあ……時代が古いぞこのゲーム
「宿を抜け出して他校の生徒と喧嘩しにいくとか」
「うわー、不良~」
「あるいは女子生徒とデートしにいくとか」
「あ、それはなんかいい!」
「先生の部屋に没収されたゲーム機を取り返しに行くとかですね!」
コメント:硬派と軟派って感じ
コメント:ゲーム機没収あるある
コメント:先生からゲームボーイ返してもらえなかったな……
「なるほど。でもそれだけいろいろあると、教師側って大変そう」
コメント:確かに
コメント:これを阻止しろとか教師も大変だな
コメント:先生の苦労が分かった気がする
「大丈夫ですわ、ミサギさん。教師側はチーム戦ですが、生徒側は実は個人戦なのです」
「フッ、そう。いかに仲間を出し抜いて自分の目的を達成するか、というところがポイントなのだ」
「はい。ポイントは、男子学生チーム側はそれぞれ自分の目的を隠している、ということですね。目的はランダムで配布されるんですが、中には一つだけ、他の男子学生を全員教師に捕まえさせる、ということが目的の『優等生』っていう目的もあるんですよ」
「あぁー、不正は許せない系の」
(テロップ:解説『優等生』:教師チーム側として勝利する。客室内で3人以上で『弾劾裁判』を行い、最多得票を得て裏切り者として布団に簀巻きにされると行動不能になる)
コメント:なーるほど
コメント:人狼系の要素もあるのか
コメント:いるわー。空気読めずに告げ口するやついる
「教師の監視の目を出し抜くにはある程度の協力が必要。しかしどこまで相手に協力するか? そのあたりの心理戦も見どころです!」
「わー、面白そう! 早くやろうやろう!」
「それではさっそく、スタート位置についてください!」
コメント:期待
コメント:始まるか
場面が切り替わり、部屋の中で男子学生チームが車座になっている。そこへ、部屋のふすまを開けて覗き込んでくるリリアとミサギ。
「こらー、男子! 消灯時間だぞー!」
「わー! 先生だー!」
「電気消してください電気!」
「わ、わあー!」
ドタバタ、と電気が消される。
コメント:草
コメント:あるあるwwww
コメント:茶番www
コメント:アキラくんがんばれ……!
「ようーし、大人しく寝ろよー! さ、行きましょうリリア先生」
「ふふふ、そうしましょうか。夜は大人の時間ですものね」
「えっ、あっ、は、はい……」
コメント:おっ?
コメント:ガタッ!
教師チームがふすまを閉めて去っていくと、男子学生チームがもぞもぞと起き出し、電気をつける。
「何あれ! あたし、あっちのほうが気になるんだけど!」
「リリミサの可能性……? ヴッ……」
「あ、あはは……」
コメント:草
コメント:トーカくんさあ
コメント:可能性に飢えた獣
「おい、やってる場合か」
「そ、そうですね」
トーカは咳払いする。
「さて、教師チームは基本的に旅館内を巡回しているので、タイミングをみて部屋を抜け出しますよ」
「わかりました。えっと……どうしましょう?」
「そうですね、足音を聞いて――」
「はい、はい!」
サキが元気よく手を上げて、真顔で言う。
「みんなで、お風呂覗きに行こう!?」
コメント:草
コメント:草
コメント:サキちゃん!?
コメント:行きます!
コメント:ご一緒します
コメント:やはり風呂か。私も同行する
コメント:笑顔でクズな提案で草
場面が変わって、一人通路を歩いているミサギ。携帯電話を手に、リリアと通話している。
『――……というわけで、男子学生共通の目的としてお風呂覗きがあるのですわ』
「女風呂覗くとかサイッテー……」
コメント:本当ですわ
コメント:せやせや
コメント:まったくですね!(クルッ)
『あらあら。このゲームで覗きに行けるのは「お風呂」であって、男女とも明記していませんわよ? どうして女風呂と?』
「えっ、え……えー、ず、ずるい!」
コメント:草
コメント:つまり男風呂も……?
コメント:ミサギちゃんもてあそばれてて草
『うふふ。まあ、大抵の目的地の移動経路の中間地点にあって、一定時間滞在すると同行した人数に応じて移動力がアップする効果を受けられるので、確実に狙ってくると思いますわ』
「そうですかねー……」
『どうします? アキラさんがお風呂を覗いていたら』
「えー。たぶんやらないと思いますけど……」
ミサギは腕を組んで首をひねる。
コメント:どうかなあ
コメント:アキラくんへの信頼を感じる
「えっと、お風呂以外はどこを見に行けばいいですか?」
『男子学生チームのホームである客室ですわね。今わたくしたちは決まったコースしか移動できませんが、男子生徒の姿を見かけたり、足音を聞いたり、客室に誰もいないことを確認したりすると自由に移動できるようになりますわ。あとはダッシュに必要なお酒の補給に、自動販売機か教師の部屋に行くことですわね』
「ダッシュするとお酒ゲージが減るって、酔いがさめるってこと? ろくでもない気がするー」
コメント:謎システム
コメント:教師は酔拳の使い手かな?
コメント:いろいろやることはあるな
『ふふふ。それで、どうします?』
「あー……男子の部屋は通り過ぎちゃったし、お酒もまだあるし。念のためお風呂向かいますね」
ミサギは分岐点を曲がる。すると。
「えっと、これは、やばい、ですね~」
という中性的な声が聞こえてきた。
コメント:あっ
コメント:草
コメント:にげてええええ!
コメント:アキラくん……
(テロップ:時は少し遡る)
「キタキタキタキター! お風呂だー!」
「えぇ……ほ、本当にやるんですか?」
「無論だ」
浴場ののれんの前に集まる4人。イヌビスが包帯を組んで頷く。
コメント:うわぁ……
コメント:おまわりさんこっちです
コメント:これはひどい(REC)
「最大の4人で同時に覗けば、教師のダッシュにもある程度対抗できるからな。それに、移動距離が長い目的が割り当てられていれば、これは必須行動だ」
「いいから早く、早く覗こう!」
「失礼しまーす。ほら、アキラくんも」
浴場への入り口で、トーカが手招きする。
「う、うう……はっ、はい……」
コメント:アキラくん!?
コメント:サキちゃんノリノリで草
コメント:アキラきゅんが汚されてしまう
(テロップ:アキラ視点)
アキラの視界には、黒背景で以下の白文字が浮かんでいた。
”あなたは今お風呂を覗いて、すっごいものを見ています。感想を発言することでゲージがたまり、最大までたまると『みなぎり状態』になります。※みなぎり状態:移動力アップ”
コメント:草
コメント:クソッッッ!
コメント:どうして
コメント:見せて!
コメント:え、皆には見えないの? 俺は見えるよ
コメント:こういうことねw
「あぁ~、なるほど……」
視点が4人の背後に戻る。4人は浴場の入り口でのれんの下を必死に覗くエモートをしていた。
コメント:絵面がひどい
コメント:草
コメント:なにこのエモートwww
コメント:チラッチラッ
コメント:ひどいwwww
「えっと、これは、やばい、ですね~」
「うわっ、あのこすっごいおっぱいおっきいよ!」
「済ました顔してあのボディ、これはいけませんねぇ!」
「フン、胸など大きくてもいいことはない。控えめな曲線美というものがこの世にはあるのだ」
コメント:サキちゃん?
コメント:見えてないのにこの臨場感
コメント:トーカおっさんで草
コメント:イヌがいちばんこじらせてそう
「ええー! おっぱいはおっきい方がいいよ! アキラくんもそう思うよね!?」
「えぇ!? ボクですか?」
「アキラくんはどういう女の子が好みなんですか?」
「聞きたい聞きたい!」
「えぇ……」
「大!? 中!? 小!?」
コメント:wwwwwww
コメント:ひどいwww
コメント:草
コメント:大中小!? じゃあないんですよサキちゃん
コメント:でもアキラくんの好みは知りたい
「えっと、その……」
戸惑うアキラの背後から――ミサギが飛び出す。
「アキラァァァ! 何やってんのアンタァァァ!」
「ふぇ!? ミサギ!?」
コメント:こわい
コメント:ヒッ
コメント:勘弁してよカーチャン!
コメント:びびった
「チィッ、ゲージが溜まりきらなかったか! 散れ!」
「にっげろーい! あっはっはっは!」
「生きてたらまた会いましょう!」
「サイッテー! 待てぇー!」
三方に散る男子学生チームを、ミサギが追っていく。
コメント:お腹痛い
コメント:こいつらwww
コメント:神ゲー
カメラが切り替わり、男子学生チームの客室。
イヌビスとアキラが、リリアとミサギの前で正座していた。
コメント:草
コメント:イヌつかまってて草
コメント:包帯で正座してるwww
コメント:アキラくんかわいそう
「回り込むとは卑怯な……」
「あなたの行動などお見通しですわ」
「うう、なんでこんなことに……」
「お風呂覗くからじゃん。サイッテー!」
コメント:まあ自業自得?
コメント:弁解の余地あり
「ふふふ、いいものは見れましたか?」
「いやそのそれが何も」
「ホントサイテー」
コメント:草
コメント:アキラくんそれはいけない
コメント:実際何も見てないのに……ひどいよ!
「はあ。で、どうしましょう、リリア先生?」
「このお説教で拘束していられるのもあと少し。終わったらまた巡回に戻らないといけませんわ。まあ、この二人は目標達成が難しくなったでしょうから捨て置くとして……問題はトーカさんとサキさんですわね」
リリアは顎に指をやって考える。
「サキさんの目的は読めませんが、トーカさんとイヌビスはおそらく一番時間のかかる外出系ではないでしょうか? 何の理由もなく覗きに行くようなタイプじゃありませんからね」
「フン、裏をかくという手も」
「ああ、今みたいに余計なことを言い出すのは間違いないですわね。トーカさんとイヌビスが、喧嘩とデートのどちらかでしょう」
「む、ぐ……」
コメント:おおー
コメント:リリアちゃんするどい
コメント:さすが四天王
「おおー、リリア先生すごい! ……ん? ということは、アキラは?」
「うふふ。大方無理やり同行させられたのでは? あまり責めないであげてくださいね」
「へぇー……」
「うう……」
コメント:いい表情してる二人とも
コメント:アキラくん巻き込まれただけなのに
「それではそろそろ時間ですわね。行きましょうミサギさん」
「はーい」
ふすまを開けて出ていく間際、ミサギはアキラに冷たい視線を浴びせる。
「フンッ!」
ばしん、と閉じられるふすま。
コメント:目覚めそう
コメント:ゾクッとした
「どうしてこうなった……」
「フッ、仕方あるまい。これは女子には理解できない男のロマンというやつだ」
「率先していた二人は女子の気が……」
コメント:言い出したのはサキちゃんなんだよなあ
コメント:ノリノリだったのは女子でしたねえ
コメント:男子ってサイテー
「ところで、キサマの目的はなんだ? オレの目的はもう今からでは厳しい。ならばせめて同じ男子の手伝いをしてやろう」
「えっ」
イヌビスとアキラが見つめ合い、沈黙する。
「……もしや、キサマ――『優等生』か!?」
「あ、えっと、えへへ……」
コメント:!?
コメント:まじか!?
コメント:アキラくん!?
コメント:おっと?
「いかん、トーカかサキを捕まえて弾劾裁判をしなければ……!」
「あー逃しませんよ! 待てー!」
ドタバタ、と二人は部屋から飛び出していく。
コメント:意外な展開
コメント:なるほどね
コメント:立ち位置をうまくいかせてたな
コメント:意外と策士なアキラくん
(テロップ:一方その頃)
「これめっちゃドキドキするね!」
廊下を歩くトーカにくっつきながらサキが言う。
コメント:ウッッ!
コメント:ありがとうございます!!
コメント:なにこの二人。カップルじゃん
コメント:てぇてぇ……
「隠れんぼ的な要素もありますからね。ところで、サキちゃんの目的は?」
「おしゃけ!」
コメント:おしゃけ!
コメント:酒か!
コメント:今飲んでるやつー
「さっき自販機通り過ぎたじゃないですか……」
「あ、そうなの? あっはっは!」
「もう」
「ごめんごめん。だってさ!」
サキはトーカの顔を覗き込む。
「トーカと修学旅行できて、すっごく嬉しいんだもん!」
「ウッ」
トーカは息を詰まらせる。
コメント:ウッッッ!
コメント:しんだが?
コメント:よかったな……
コメント:トーカちゃん?
「そういう思い出なかったからさー。ね!」
「う……ま、まあ、そうですけど……」
ドタドタドタドタ……
「ん?」
ドタドタドタドタ!
「げっ、足音!?」
「――……待ってー!」
「――……誰が待つか!」
振り返ったトーカとサキの視界に、角を曲がってくるイヌビスとアキラの姿が映る。
コメント:来たwww
コメント:タイミングよー
コメント:いいところだったのに!
コメント:走り方草
「あっ、ふたりとも!」
「トーカ! ちょうどよかった、オレと来い!」
「えっ、なんで――」
「――待てぇー!」
さらにその背後から現れるミサギ。
コメント:草
コメント:バレてて草
コメント:追われてるじゃねーか!
「やばっ、先生じゃん! 逃げろー!」
「待ってー!」
「トーカ! キサマが必要だ!」
「この状況で逃げないなんてないでしょうが!」
「あっはっはっはっは!」
「待てぇー! ゴラァ!」
コメント:イヌ野郎?
コメント:イヌは何を言ってるんですかねえ
コメント:ビス様それはちょっと
ドタバタワチャワチャと逃げ出す。その先頭に立つトーカが、分岐を宿の外へと向かって曲がり――
「はい、捕まえましたわ」
腕を広げて待ち構えていたリリアが、トーカを抱き止める。
コメント:アッ
コメント:おおおおお
コメント:うまい
コメント:読んでたのか
コメント:胸が!
「さ、悪い子はお部屋に戻りましょうね?」
「お……ぉぅ……」
コメント:トーカおとなしくなって草
コメント:童貞みたいな反応するな
コメント:ふぅ……
場面が変わり、男子学生の客室。トーカ、イヌビス、アキラが車座になっている。
コメント:この光景ほんと草生える
コメント:サキちゃんは逃げたか
コメント:サキちゃんは無事か
「それで……なんで私を探していたんですか?」
「聞いてくれ。裏切り者がいるのだ。ヤツこそ優等生だ」
「ち、違いますー。ボクは優等生なんかじゃありませんー」
アキラは手を上げて首を振る。
「フン。しらじらしい。さあ弾劾裁判を発動する! これでキサマを封じ、教師の勝利の目を潰すのだ!」
「なるほど……」
3人が投票のアクションを手元でし――
「ぐわあああ! なぜだ!?」
布団が飛んできてイヌビスが簀巻きにされ、床に転がされる。
コメント:草
コメント:はい
コメント:wwwww
コメント:やると思ったwww
コメント:イヌはさあ
「いや、お約束かなと思って」
「何がだ!?」
「ただいまー、何の話?」
ふすまを開けてサキが入ってくる。手には缶ビール。
コメント:おお!
コメント:サキちゃん!
コメント:すげえ。すげえけど絵面がひどい
コメント:完全に酒持って入ってきた兄ちゃん
「ンフッ、なに、イヌビスが巻かれてるッハハハハ! 犬巻きだ犬巻き!」
「クッ、笑うな!」
「うははは! クッコロだクッコロ!」
「キサマ……!」
コメント:くっころは草
コメント:男のくっころは需要ないんだよなあ
コメント:は? あるが?
「じゃ、サキちゃんがタッチダウンということで、まだ時間残ってますけど終了にしますねー」
トーカが手元を操作し、終了の合図に寺の鐘が鳴る。転送されてきたリリアとミサギが、ふすまを開けて中に入ってきた。
「どうやら負けてしまったようですわね」
「くやしい~! 誰が勝ったの!?」
「はい、はい! あたし! イェーイ! 乾杯!」
「あら、おめでとうございます」
サキが缶ビールを掲げると、リリアも缶ビールを取り出して軽くぶつけた。
コメント:祝杯だ!
コメント:俺も二本目いこ
「あのー、それで……なんで犬のひとは巻物になってるんですか?」
「あはは……」
「クソッ……おのれぇ……」
「はいはい、締めに入りますよ~」
場面が変わり、全員が一列に並ぶ。ただしイヌビスだけは布団に巻かれていた。
コメント:イヌwwww
コメント:ほどいてやれよwww
コメント:草生える
「はい、というわけで! 『抜け出せ! 修学旅行の夜!』でした!」
「こちらバーチャルラウンジにて、絶賛スペース解放中ですわ」
「きかくじゅんきょアバター? なら、なんとこんなカッコイイジャージも買って着れちゃう!」
サキがポーズをとり、他の面々もぐるりと回ったりしてジャージを見せる。
コメント:バーチャルラウンジは無料!(定期)
コメント:やりてえけどフレがいない
コメント:混ざりたい人生だった
コメント:やっぱ今回は準拠版アバターか。胸が違うと思ったわ
「みなさま、ぜひ遊ぶだけでなく、ジャージを買っていただけると助かりますわ」
「お布施チャンス! なんて」
トーカはいたずらめいた笑いを浮かべる。
コメント:はーすき
コメント:なにその表情。誘ってるの?
コメント:買います!!!
コメント:エモートがいい
コメント:推せる
「ということで、いやー、楽しかったですね! バーチャル帝都のふたり、七見屋アキラさんとミサギさんはいかがでしたか?」
「すっごく楽しかったです! ね、アキラ!」
「いやー、負けちゃいましたけど、でもなんだろう、青春……! って感じでしたね!」
「よかった、嬉しいです!」
コメント:確かに青春ぽかった
コメント:昔の学園ものって感じ
コメント:こんな修学旅行に行きたかった……
「ああ、そうだ! それならもっと景色のいいスペースがあるんですよ。そこに行ってみませんか?」
「いいね、行こう行こう!」
トーカたちはぞろぞろとカメラの外に向かって歩いていき、消えていく。
――簀巻きで直立するイヌビスを残して。
「――おい? おい待て!? 置いていくな! おい! お、おーい!」
コメント:草
コメント:お約束www
コメント:イヌ……
暗転後、花火の見える丘で撮った集合写真にて締めとなる。
コメント:お疲れさまでした!
コメント:楽しかった!
コメント:ジャージ課金してきます
コメント:帝都組? のチャンネルも登録してきた
コメント:よかった最後の写真ちゃんとイヌビスもいる……
コメント:端っこになw
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます