22日目、大切な宝物

◯月×日


ニャーン


今日は珍しく朝からシロが膝の上に乗って寝てる。


寂しがるクロも一緒に膝に乗せたけれど、気にせず寝たまま。


膝に乗ってきてリラックスすることはよくあるけれど、長々と熟睡するのは珍しい。


なんとなく、シロをお迎えした日のことを思い出した。




雪のちらつく冬の日に。


うっすらと白く積もった道路脇で。


電柱の影に隠れるように震える若い猫がいた。


もう鳴き声も上げられないくらいに弱ってるのに、近付く私を睨み付ける強い瞳。


抱き上げると重さを感じられないくらい痩せ細っていて。


ダメかもしれない、そう思いながらも連れ帰った。


タオルで包んで、ストーブの近くで温めた。


膝の上で感じた小さな震え。


ニー…


小さな鳴き声と、私を見上げる瞳。


いつの間にか穏やかな寝息を立てていたその子は、無意識にか私の膝に爪を立てて、離れようとはしなかった。




その後、動物病院に連れて行って段々と元気になったその子に、その毛並みと雪の景色からシロと名付けた。


膝の上で眠るシロとクロ。


あの日、ダメかもしれないと諦めていたら、この温もりはなかった。


もしあの時、シロを抱き上げていなければ、クロのことも見殺しにしていたかもしれない。


シロとクロ。


私の大切な宝物。


この温もりが、いつまでも続いてくれますように。

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